中村 亨の【ビジネスEYE】です。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、
・外出自粛とテレワークにより今まで通勤に費やしていた時間が余暇となる
・仕事が減り残業代がなくなる。賞与の不支給や減額による経済的な不安
といった理由から副業を希望する方が増えている傾向があり、また企業においても、特殊なスキルをもった人材による副業の受け入れも増えつつあります。
しかし、企業は本業として働いている社員には、「自社の業務が疎かになる」、「企業秘密が漏洩する」などの懸念から副業・兼業を認めるには消極的でした。一方で過去の裁判では、「社員がプライベートの時間をどのように利用するかは自由」であり、よほどのことがない限り副業を禁止することはできないとされています。
今回のビジネスEYEでは、副業・兼業の実施において企業に求められる対応について、人事労務管理の観点から見てみましょう。
■副業の禁止・制限は認められない
過去に会社が副業を禁止することについて争った裁判では、よほどのことがない限り副業を禁止することはできないとされています。
例外的に副業の禁止・制限が認められるのは以下4つのケースです。
1.労務提供上の支障がある場合
2.業務上の秘密が漏洩する場合
3.競業により自社の利益が害される場合
4.自社の名誉や信用を損なう行為や信頼関係を破壊する行為がある場合
企業は改めて、副業・兼業の是非について検討する必要があると考えられます。
■国は副業・兼業の促進を後押し
国は副業・兼業が人材の活性化につながると考え次の通り推進しています。
「人生 100年時代を迎え、若いうちから、自らの希望する働き方を選べる環境を作っていくことが必要である。また、副業・兼業は、社会全体としてみれば、オープンイノベーションや起業の手段としても有効であり、都市部の人材を地方でも活かすという観点から地方創生にも資する面もあると考えられる。」
具体的には、2020年9月の労災保険法改正による兼業者の取り扱いや2018年1月に発表され2020年9月に改訂された厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」などがあげられます。
■見過ごされがちな労働時間管理
労働基準法では労働時間は1日8時間1週40時間までとされています。この時間を超えて労働させる場合には、36協定を締結、労働基準監督署に届け出ることで一定の上限の範囲内かつ割増賃金を支給することで時間外労働をさせることができます。
例)本業に正社員として8時間働いた後、2時間の副業を行った場合副業先の企業は2時間分の時給を払うだけでなく、この2時間は時間外労働となり割増賃金の支払いが必要となります。
実態としては、労働者本人が副業していることを会社に黙って行っていることが考えられ、気づかずに労働基準法に違反していることも十分考えられます。
■副業と合わせて月ごとに労働時間を通算管理
また36協定において、限度時間(45時間)を超える時間外労働は、法律で1か月あたりに定めがあり、本業と副業の時間外労働を通算した時間がこの上限を下回る必要があります。
本来であれば、副業と合わせて月100時間以上もしくは複数月平均80時間超の時間外労働と休日労働にならないように月ごとに労働時間を通算管理する必要があります。
■副業・兼業の実施において企業に求められる対応とは?
「副業・兼業」トラブル防止のためのルール整備について、引き続いては日本クレアス社会保険労務士法人のWebサイトからご覧ください。
副業のメリット・デメリット、労災保険法の改正(兼業者の給与額が手厚くなる!)、企業が求められる対応など、図表を付けて詳しく解説しています。トラブルを発生させないための労務管理について、ぜひご確認ください。
●〇●「副業・兼業」トラブル防止のためのルール整備について
┗ https://ca-sr.com/report-sidejob/
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