2021.06.01

テレワークにおける在宅勤務手当や通信費の取扱い


通常必要な費用であれば所得税を非課税

背景

2020年の春以降、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で、在宅で勤務するテレワークを実施する企業が急激に広がりました。今後コロナ禍が収束した後でもテレワークを用いた在宅勤務の形態は継続するとみられています。

このテレワーク中に電話通話料、インターネットにおける通信費や電気料金などに対していわゆる「在宅勤務手当」を支給する企業が増えています。

このような通信費や電話料金については、業務遂行上使用した実費分のみを明確に分けて計算することができればその金額を経費精算等により支給することができますが、実際には通話料金やインターネット料金などは業務使用と私的使用を区分して計算することが難しく不明瞭であることが問題とされてきました。

国税庁の公表

そこで国税庁は2021年1月15日に「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公表しました。上記のようなテレワークにおける在宅勤務手当、通信費、電気料金、レンタルオフィスについて「通常必要な費用を精算する方法」によった支給であれば、所得税を非課税(給与課税としない)とする取扱いをまとめました。

このFAQに従って、それぞれの費用の取扱いについて見ていきます。

在宅勤務手当、レンタルオフィス

在宅勤務手当については、在宅勤務に通常必要な費用の実費相当額を精算する、いわゆる「実費精算」の場合には給与課税とならず非課税ですが、毎月5,000円などの一定額の渡切りの支給の場合は給与として課税対象となります。

在宅勤務に係る事務用品等(パソコン等)の支給については、会社が「貸与」の場合には非課税となりますが、現物支給した場合(業務に使用しなくなったときには返却を要しない場合)は現物給与として課税対象となります。

レンタルオフィスの利用代金についても、「実費精算」の場合は同様に給与課税とせず非課税の取扱いになります。

通信費

テレワークを行うにあたり必要な通信費を精算する方法については、
・企業が従業員に先に仮払いする方法
・従業員が業務必要経費を報告して精算する方法
2パターンを挙げています(精算方法については、下記<電気料金>においても同様です。)が、いずれの方法でも業務負担分を「合理的に計算する」ものとしています。この「合理的計算方法」を下記にてご説明していきます。

通信費のうち電話料金

通信費のうち電話料金については、通話料と基本使用料に分けて考えることになります。通話料は通話明細書などで業務遂行上の利用分が把握できるため、この利用分であれば給与課税の対象となりません。

ただし、電話料金の基本使用料やインターネットの基本使用料、データ通信料については業務のために使用した部分を「合理的に計算する」必要があるため、下記の計算式で計算してもよいと国税庁の指針では説明しています。

 

通信費のうち電話料金

※上記算式の「1/2」については、1日のうち、睡眠時間を除いた時間の全てにおいて均等に基本使用料や通信料が生じていると家庭し、次のとおり算出しています。

①1日:24時間
②平均睡眠時間:8時間(「平成28年社会生活基本調査」(総務省統計局)でしめされている7時間40分を切り上げ)
③法定労働時間:8時間
④1日のうち、睡眠時間を除いた時間に占める労働期間の割合:③÷(①-②)=8時間/(23時間-8時間)=1/2

【例】従業員が9月に在宅勤務を20日行い、1か月に基本使用料や通信料1万円を負担した場合の業務のために使用した部分の計算方法

通信費の計算例

※上記の算式によらずに、より精緻な方法で業務のために使用した基本使用料や通信料の金額を算出し、その金額を企業が従業員に支給している場合についても、従業員に対する給与として課税しなくて差支えありません。

ただし、従業員本人が所有するスマートフォンの本体購入代金や業務遂行上必要のないオプション代金等(端末本体の補償料や音楽・動画配信のサブスクリプションの利用料金等)を企業が負担すると、給与課税されますので注意が必要となります。

業務使用分の具体的算式

次にインターネット利用料金を含む従業員本人が所有するスマートフォンの通信費の業務使用分の具体的算式を見ていきます。

  • ・基本使用料:3,000円(3GBまで無料)
  • ・データ通信料:1,000円(3GB超過分)
  • ・業務使用に係る通話料(通話明細書より) :800円
  • ・在宅勤務日数:15日

※金額は全て消費税込みの価格

上記の設例のケースですと、通話料800円は100%業務用ですので、全額給与課税とはなりません。

しかし、基本使用料3,000円やデータ通信料1,000円については、下記の算式により業務のために使用した金額相当額1,000円を差し引いた3,000円相当額が給与課税の対象となります。

 

業務使用分の具体的算式

 

電気料金

電気料金についても上記の通信費同様、在宅勤務した日数、業務のために使用した部分を「合理的に計算する」必要があるため、下記の計算式で計算してもよいと国税庁の指針では説明しています。

下記の算式の通り業務に使用した部屋の専有床面積按分を行う必要があるため、通信費に比べ計算が煩雑になるかと思われます。

 

電気料金の合理的な計算

 

実務上の注意点

上記の計算式に基づいてテレワーク社員の通信費や電気料金を計算するときには、対象の社員が各自で業務利用分を毎月の利用料金や床面積などを用いて計算し、さらにそれを経理担当者がチェックをしなければならないという業務が発生するため、対象社員及び経理担当者ともに業務負担が大きくなる可能性があるため注意が必要です。

※本原稿の画像の出典:国税庁「在宅勤務に係る費用負担等に関するFAQ(源泉所得税関係)」

 

 

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