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よくある相続・家族信託Q&A (17) 相続時精算課税制度はどのように活用すべきか。その2

【質問】

相続時精算課税制度を使ってはいけないケースを教えてください。

【答え】

1.同居の長男に、相続時精算課税制度を使って自宅の土地を贈与する

長男さんがゆくゆくはこの土地を相続して、結婚してここに住むのだから、相続時精算課税制度を使って、この土地を贈与しておこう』ということを考えられるケースもあります。

これは、一般的には、してはいけないケースです。
(ただし、相続税や移転コストが高くなっても、争族を避けたいという場合は別です。)

というのは、相続時精算課税制度を使って贈与する時は、小規模宅地の減額が使えません。小規模宅地の減額というのは、相続時にしか使えません。
この制度は、例えば長男さんがお父さんと同居をしていて、お父様が亡くなった時に自宅の土地を相続した場合に、330㎡までは8割引での評価で居住用土地を相続できるという制度です。

相続に限って小規模宅地の減額が使えますから、相続時精算課税制度を使った贈与の場合は、8割引は使えません。ということは、そのままの高い評価で贈与をして、そのままの高い評価でお父様が亡くなった時に相続財産に加算されるということですから、これは避けなければなりません。

同居していた方が相続の時にその財産を相続した方が低い評価額で相続できますので、これは特に留意すべきことです。

不動産の生前贈与は、下表のように移転コストが増えます。

2.将来、その不動産を物納しようと思っている場合

次の場合には、物納が考えられます。

1)底地は、売却しても高く売れない。
課税当局は、条件がそろえば相続税評価額(相評)で収納してくれる。
2)相評は高いが、時価はそれより低い。
昔、高台の高級住宅地 1区画80坪以上 高齢化により、売りが多く、実売価格が下落していて、相評は追いついていない。

相続時精算課税制度で移転(贈与)したものは、相続で移転していないので、物納はできません。
ですので、将来、その不動産を物納しようと思っている場合は、相続時精算課税制度を使ってはいけません。

2023.02.09 Q&A


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