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よくある相続・家族信託Q&A (4) 成年後見制度のもとで自宅を売ることができる?
【質問】
85歳のお父様は少し判断能力が劣ってきたとおっしゃっています。お父様は、80歳のお母様と、自宅で生活をしておられます。お父様の子供は、現在の社長である長男さんと、他家に嫁がれた長女さんのお二人です。
お父様は、子供たちに頼らずに余生を送りたい。何かあったら自宅を売却して老人ホームに入りたいとおっしゃっています。
お父様の判断能力が著しく劣ってきた場合に、自宅を売ろうとすれば、①成年後見人を選任していただくという方法と②家族信託によるという2つの方法がありますが、成年後見人制度の場合に自宅はなかなか売りにくいと言われています。
なぜ、成年後見人制度の場合には、自宅がなかなか売りにくいのでしょうか。
【答え】
自宅を売却するためには、成年後見人の一存ではできず、家庭裁判所の許可が必要だからです。
民法859条の3を要約しますと、「成年後年人は、成年被後見人に代わってその居住の用に供する建物またはその敷地について売却等をするには、家庭裁判所の許可を得なければならない」とされています。
家庭裁判所の許可を得るということですが、被後見人(父)の財産を保全するのが後見制度の主目的であり、父は老人ホームに入っていても自宅に帰ってくる可能性もあるので、自宅はなるべく売らずに置いておいてあげたい、との配慮が強く働いていると思われます。ですから、お父様が、他に土地を持っておられたり、預貯金があるという場合には、なかなか許可が下りにくいようです。
長男さんや長女さんにしたら、父と母が住んでいた自宅は古いし、各々が家を持っているから自分たちはそこに戻る気がない。父や母が住んでいた自宅は、なるべく早く売って、父と母が気兼ねなく自分のお金で老人ホームで過ごしてもらいたいと思っていても、成年後見人制度のもとにおいては、それが、なかなかできないようです。
2022.10.20 Q&A
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