おはようございます。
まだ8月が始まったばかりというのに、暑いです!猛暑です!!
マスクがとても息苦しい季節となってしまいました。
なんとか乗り切っていきましょう。
外注先への支払が報酬となるのか給与となるのかの裁判例がございますのでご紹介します。
争われた事件内容は、「塗装工事業等を営む原告(X社)から作業員に支払われた金員が,外注先への報酬に該当し、課税仕入れとして消費税の仕入税額控除の対象になるか否か等を巡り争われた事件」です。
東京地裁は、課税仕入れには該当せず、仕入税額控除の対象とは認められないほか、X社は源泉徴収すべきであったなどとし、国の行った消費税の更正処分等と源泉所得税の納税告知処分等は適法と判断しました。
本件において、東京地裁は、同最高裁判決のほか、消費税法基本通達1-1-1 も、「給与等」への該当性の判断の参考になる基準としたようです。
消費税法基本通達1-1-1 では、個人事業者と給与所得者の区分について、雇用契約等の有無で判断すべきとしつつ、契約の有無が明らかでない場合には、例えば、①から④の事項を総合勘案して判断するとされています。
① 非代替性(その契約に係る役務の提供の内容が他人の代替を容れるかどうか)
② 指揮監督性(役務の提供に当たり事業者の指揮監督を受けるかどうか)
③ 危険負担(まだ引渡しを了しない完成品が不可抗力のため滅失した場合等においても,当該個人が権利として既に提供した役務に係る報酬の請求をなすことができるかどうか)
④ 材料等の支給(役務の提供に係る材料又は用具等を供与されているかどうか)
以上の事実認定により、東京地裁は各作業員に支払われた金員は、「X社から空間的、時間的な拘束を受け、継続的ないし断続的にされる労務又は役務の提供の対価として支給されたものであり、雇用契約又はこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付というべきである」とし、「給与等」に該当すると指摘したようです。
ちなみに本件の①から④にあてはめた事実認定内容は以下の通りです。
①・各作業員は自らの判断で仕事を外注することはなかった。
・各作業員が仕事を休むことになった場合、各作業員が代替の作業員を手配するのではなく、X社が代替の作業員を手配していた。
② ・各作業員は、作業日・作業内容・作業時間を自由に決めることはなく、X社が各作業員の希望を聞いた上で作業先を振り分け、受注先の現場監督、X社の代表者等に従って作業を行っていた。
③ ・各作業員に完成すべき作業の定めはなく、依頼された作業が完成しなくても作業日数に応じた報酬が支払われていた。
④ ・X社が元請から材料(塗装材)を有償で支給されて作業を請け負っているため、各作業員が材料を購入することはなかった。
この会社が報酬として処理した理由は、社会保険料を徴収されると手取りが減るため、外注先として取り扱ってほしいとの申し出を受けたことのようですが、あるあるな話ですね。
原田