今から見直すべき!?
相続税の生前対策について

令和6年12月に国税庁から令和5年分の相続税の申告事績が公表されました。
お亡くなりになられた方に対して相続の申告書を提出した方の割合は約10%で、相続税の課税対象となった遺産総額は21兆6,335億円、その遺産に対して課税された金額は3兆53億円となっています。
令和3年の数字と比べますと、課税価格は約16%増加して、相続税額は約45%増加しているため、ここ数年で飛躍的に相続税額が上昇していることが分かります。
年度 | 被相続人数 (死亡者数) |
被相続人のうち 相続申告を提出した人数 |
課税価格の総額 | 相続税額の総額 |
令和5年 | 1,576,016 | 155,740 | 21兆6,335億円 | 3兆53億円 |
令和4年 | 1,569,050 | 150,858 | 20兆6,840億円 | 2兆7,989億円 |
令和3年 | 1,439,856 | 134,275 | 18兆5,774億円 | 2兆4,421億円 |
また、全国の裁判所が取り扱った遺産分割調停の新規申立件数に関しては、下記の通り毎年相続に関する遺産分割に関して不服申し立てをする件数が1万件を超えていることになります。
令和5年 13,872件
令和4年 16,687件
令和3年 13,565件
これらのデータから相続の対策に関して読み解けるのは、下記3点です。
1.相続税に関して納税対策をする
2.円満な相続のために遺産分割の対策をする
3.節税の対策を検討する
つまり、お亡くなりになる方の増加に伴って相続税も増加の一途をたどっていますが、相続申告を提出する必要がある方は、相続人の方々が相続税を支払う事が出来るのか、早い段階で対策を取ってあげることが必要です。
また、遺産分割に関する裁判件数は財産の大小にかかわらず、毎年1万件を超えているため、相続の問題はいわゆる資産家の方だけの問題ではなく、多くの方にとっても身近なものです。仮に相続税は課税されなくても、相続人が複数名いるにもかかわらず、相続財産が現金と自宅だけであれば、相続をきっかけに相続人がもめる可能性があるという事です。
そして、相続税の法律は毎年改正がされていて、正しい知識がないと、いざ相続が発生した場合に思いもよらない相続税が課税される可能性があります。
今まで何も対策をしたことがない方はもちろんですが、今まで何らかの対策をした方も、法律の改正の影響で、以前実施した生前対策の効果が低くなっているかもしれません。
経験豊富なプロに相談をしたうえで、出来る限りの節税対策も検討をしたいものです。
今回はこれらの対策に関して、一般的なものをご紹介しますが、今後より詳細な内容をお届けしたいと思います。
■代表的な相続税の生前対策
◆小規模宅地等の特例
被相続人が保有する土地のうち生前の用途が居住用や事業用であるものを、親族が一定の要件のもと相続した場合、その相続税評価額を80%又は50%減額できる特例です。
たとえば、自宅として使用していた土地の評価が5,000万円であった場合には、80%を減額した1,000万円で評価をすることができるため、相続の評価を大きく引き下げることが出来ます。
◆生前贈与
贈与の方法には暦年贈与という方法が一般的で、1月1日から12月31日までの1年間にもらった財産の合計額から、贈与税の基礎控除額の110万円を引いた金額に贈与税がかかるというものです。
贈与税は、もらった財産の合計額が基礎控除額の110万円以下であれば課税されず、贈与税の申告をする必要もありません。相続税の対策で生前贈与を年間110万円の範囲内で行うという方法がとられることがあります。
◆生命保険の加入
生命保険金を受け取った場合には、相続税の対象となりますが、「500万円×法定相続人の数」の範囲内であれば、非課税として取り扱われるため、現金を保険に変えることで節税効果を得ることが出来ます。
◆遺言書の作成
遺言書は、遺産の承継に関する意思表示を書き残した書面であり、法律で定められた書式に沿って作成をする必要があります。一般的には「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」に区分されますが、円満な相続にするためには、遺言書の作成は財産の大小にかかわらず必須と言えるでしょう。
◆不動産の購入や売却
相続税の納税資金が不足している場合には、生前に不動産を売却して資金化することは非常に重要です。また、不動産を購入することで相続税を圧縮できる効果もあります。取引をする金額が大きくなるため専門家に相談をしたうえで、対策を検討するのがよろしいでしょう。
日本クレアス税理士法人では、質の高いサービスをご提供する事で、相続問題にお悩みの方をワンストップでサポートいたします。是非お気軽にお問合せください。