2025.11.10

相続

発見されないとどうなってしまうの?
~デジタル遺産の対策~

デジタル遺産

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電子マネー、預金のオンライン取引、ネットを使った株取引などの資産運用まで、 

スマホやパソコンによる財産の管理は全世代にとって身近なものになりました。 

 

こうした実体のない資産、つまり「デジタル遺産」は、所有者に相続が起きた場合に、 

存在そのものや財産的価値を周囲に把握してもらえず、遺産分割や申告などの相続手続きから漏れてしまう問題点が発生します。 

そして最終的には税務調査でも発覚せず、休眠預金として国に帰属する可能性もあります。 

 

そこで今回は、デジタル遺産を所有する問題点と、家族にスムーズに引き継ぐための生前対策のポイントを紹介します。 

デジタル遺産とは?

財産的価値があるものの、紙の証書や手に触れられるものがなく、電子データとして端末やネット上に存在する資産を総称して「デジタル資産」と呼びます。 

 

デジタル資産は、個人でもスマホやパソコンを介して多数保有されるようになりました。 

そしてこれらの資産は、所有者が亡くなるとただちに「相続財産」となり、 

現金や不動産などの財産と同じように、遺産分割した上で相続税の申告対象になります。 

デジタル遺産の具体例

ネットバンキングやオンライン専用取引口座などが代表的なものですが、 

サブスクリプションの契約など、適切な死後事務を行わなかったことで契約が残っている限り、相続人の損失に繋がる負の遺産も対象になります。 

 

・ネットバンキングで管理する預金や電子マネーのチャージ残高 

・各種ポイントやマイル 

・オンライン取引専用の証券口座にある資産 

・暗号資産(ビットコインなど) 

・通販サイトの未決済分、サブスクリプション契約の利用料金 

デジタル遺産の問題点とは?

1.相続財産の計上漏れになる

デジタル遺産の第1の問題は、周囲の人に存在を気付いてもらいにくく、遺産分割や相続税申告から漏れる可能性が高いことです。 

 

実体のある資産であれば、故人の周囲に「紙の通帳」や「固定資産税の納税通知書」などが残っているので、財産目録や遺言書を作成しないまま死亡した場合でも、家族や生活拠点を調べてもらうことで遺産を発見することが出来ます。 

 

一方で、デジタル資産の多くは、ほぼ完全にペーパーレス化されているため、デジタル遺産の存在を家族に把握してもらうには、生前所有していたスマホやパソコンのセキュリティロックを解除し、中のデータを確認してもらわなくてはなりません。 

IDやパスワードが分からないため、もしくは存在そのものが分からないと、相続財産の計上漏れになってしまいます。 

2.休眠預金になる可能性がある

休眠預金とは、10年間取引がない預金を「休眠預金」として、民間での公益的な活動の支援に活用するものです。外貨預貯金以外の普通預金や定期預金などは全て対象になり、ネットバンキングも、もちろん対象になります。 

休眠預金になると、相続財産の計上漏れというリスクだけでなく、その存在を知らないまま財産そのものが相続人の手に入らないというリスクにもなります。 

3.管理状況が本人の健康状態に左右される

本人の健康状態が悪化した時点で資産管理が滞ってしまう点です。 

デジタル資産の存在は周囲に気付いてもらいにくい上、そのアクセス方法は所有者しか知らないため、仮に認知症を患い、症状が進んでセキュリティ情報が思い出せなくなってしまうと、資産状況のチェックが半永久的に行われなくなる恐れがあります。 

デジタル遺産の生前対策ポイント

1.資産情報を整理する

スムーズに相続手続きを進めてもらう上で、例えば「○○ネット銀行に口座がある」という情報だけでは足りません。口座番号や取引状況など、もっと具体的な情報が必要です。 

IDやパスワードなども整理した上で、「銀行名」「口座番号と口座名義人」「最新の種目別預金残高」を具体的にメモや財産目録として残しておくことがポイントです。 

2.遺産分割の方法を指定する

デジタル遺産に関しても、実体のある遺産と同じように、出来る限り遺言書で「誰に・何を・どの割合で相続させるか」を指定しておくことが望ましいです。 

 

この際、債務発生(含み損や未決済のサービス利用料金など)の可能性に注意して「もし債務が発生した時は、誰の取得分から弁済するのか」も明確にしましょう。 

また、不正アクセス禁止法に抵触してしまう恐れを考えて、相続手続きの方法も具体的に指示しておくべきです。 

 

最も確実なのは、遺言書を作成した上で、弁護士や税理士などの信頼できる専門家を「遺言執行者」に指定しておく方法です。 

遺言執行者とは、生前の意志に沿って相続手続きを行う役職の事を指します。 

 

相続を専門とするこれらの専門家は、近年の動向に沿ってIT関連法も熟知しています。 

遺言執行者に指定した場合、その義務に沿って「デジタル遺産の存在」を相続人に知らせた上で、相続人のITリテラシーに関わらず迅速かつ円滑に進めてもらえる点で安心できます。 

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