2025.12.11

相続

相続した不動産を売却したい!!
~取得費加算特例を使って賢く節税~

不動産取得費加算特例

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相続により実家や空き家、賃貸物件を引き継いだものの、遠方のため管理が出来ない場合、相続税の納税資金を捻出する必要がある場合など、

不動産を相続したものの売却を検討されている方もいらっしゃるかと思います。 

 

ただし、相続した財産を売却して利益が発生すると譲渡所得税が発生してしまいます。 

早期に売却した場合には、相続したことで発生した相続税にプラスして、 

すぐに譲渡所得税の負担もあり、金銭的に苦しくなるかもしれません。 

 

そこでお勧めしたいのが、譲渡所得税の負担を軽減する「取得費加算の特例」の活用です。 

特例を活用することで、相続税の一部を取得費に加算し譲渡所得を抑えられるため、 

譲渡所得税を節税できる可能性があります。 

しかし、特例には適用要件や期限があり、十分に理解していないと適用漏れや予想外の税負担を招くため注意が必要です。 

 

そこで今回は、取得費加算の特例の仕組みや計算方法、適用に際する注意点などについてご説明いたします。

取得費加算の特例について知りたい、譲渡所得税の負担を軽減したい方は、ぜひ最後までご覧ください。 

相続不動産を売却したことで支払う税金

相続不動産の売却代金は、亡くなった人(=被相続人)の代からの所有期間に応じて「長期譲渡所得」もしくは「短期譲渡所得」のいずれかとして扱われます。 

 

【相続不動産にかかる譲渡所得税の税率】 

・長期譲渡所得(所有期間が5年を超える場合)…所得税15%+住民税5% 

・短期譲渡所得(所有期間が5年以下である場合)…所得税30%+住民税9% 

 

売却対価から購入費と売却までにかかったコストを控除した売却益に対して課税されます。 

【売却に関する課税価格】 

売却金額-(取得費+譲渡費用)=課税される金額 

取得費加算の特例とは?

相続や遺贈により取得した財産を一定期間内に譲渡した場合、支払った相続税の一部をその財産の取得費に加算出来て、譲渡所得税を軽減できる制度です。 

 

取得費加算の特例を適用することで取得費用を大きくできるため、譲渡所得が小さくなり、結果として譲渡所得税が減るという仕組みです。 

 

相続でも相続税が課税され、売却でも譲渡所得税がかかってしまうと、手元に残る財産が大幅に目減りしてしまうので、

譲渡所得税を軽減する措置として、取得費加算の特例を用意しているのです。 

取得費加算の特例を受けるための要件

相続税の取得費加算を適用するためには、4つの要件を満たす必要があります。

1.財産の取得方法が相続や遺贈である 

取得費加算の特例を適用するためには、財産の取得方法が相続や遺贈でなければなりません。 

遺贈とは、相続人以外の方が、遺言書の指定によって財産を受け継ぐことを指します。 

相続税に関する特例のため「相続税の対象である財産ではなければ特例が適用できない」と覚えておきましょう。 

2.財産取得者が相続税を負担していること 

取得費加算の特例は、譲渡所得税を計算するときの取得費用に、財産を相続した際に支払った相続税の一部を加算できる制度です。 

そのため、財産の取得者が相続税を負担していなければ特例を適用できず、 

もし適用したとしても支払っている相続税がないため、節税効果を得ることはできません。 

 

相続税は基礎控除や特例などを用いた結果、相続税が発生しない場合も多いです。 

そもそも相続税を支払っていない場合には、取得費加算の特例を利用できません。 

3.相続開始の翌日から3年10カ月以内に売却している 

取得費加算の特例を適用するためには、相続税の申告期限の翌日から3年以内に財産を売却していなければなりません。 

相続税の申告期限は「相続開始の翌日から10ヶ月以内」と定めれられているため、

両者を合算すると「相続開始の翌日から3年10ヶ月以内」が取得費加算の特例の適用期限です。 

 

取得費加算の特例は、相続税と譲渡所得税を短期間で納めなければならない人の負担を軽減することを目的としているため、

相続後に長期間、財産を保有している場合には、取得費加算の適用対象外となるのです。 

4.当初申告要件を満たしている 

当初申告要件とは、納税者にとって有利になる制度の適用を受けるため、

当初の申告において“制度の適用を受けることの意思表示”を要求しているものをいいます。 

「うっかり適用を忘れてしまった」場合、後から取得費加算の特例を適用することはできません。

更正の請求(税金の還付請求)もできないため、余分な譲渡所得税を払わないように注意しましょう。 

具体的な節税金額

取得費加算の特例の計算式を定義すると、下記の表示になるのですが、 

少し複雑なので、具体的な数値を用いて節税効果を見ていきましょう。 

 

<取得費加算の計算式> 

相続税額 × 譲渡財産の相続税評価額 ÷(取得財産価額+相続時精算課税制度適用財産価額+生前贈与加算価額) 

 

<取得費加算できる相続税・譲渡所得の計算方法> 

  • 取得費加算の特例を適用する財産:取得費5,000万円
  • 相続税評価額/売却金額:9,000万円
  • 相続税の課税価格:1.8億円
  • 相続税額:5,000万円

 

計算式に当てはめると、取得費加算できる金額は以下の通り2,500万円となります。 

5,000万円 × 9,000万円 ÷ 1.8億円 = 2,500万円」 

つまり、2,500万円分の経費が増えることになるため、この金額に税率を掛けた金額が節税金額という事になります。 

 

2,500万円×20.315%(※)=5,078,750円 

(※)長期譲渡所得に復興特別所得税を加算 

 

取得費加算の特例を適用するためには、相続財産を譲渡した年の翌年2月16日3月15日までに一定の書類を添付した上で、確定申告をすることも必要になりますので、 

ご注意していただきたいと思います。 

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