2026.01.09
相続
-2026年度税制改正速報-
急な生前対策はNG?
~貸付用不動産の評価方法の見直し~

2025年12月19日に、2026年度の税制改正大綱が発表されました。
物価上昇や生活コスト増への対応を背景に、国内投資や賃上げを促進して、
「強い経済」を作ることを目的として様々な改正内容が発表されています。
相続に関する改正は、貸付用不動産の評価方法に見直しが入り、相続対策を見直す大きな改正になることが想定されます。
そこで今回は、2026年度の税制改正のうち、貸付用不動産の評価方法の見直しについて詳しく解説いたします。
そもそも貸付用不動産の評価は、何が問題でしょうか?
相続財産を計算するとき、原則的にはその資産の時価をもって、評価額とします。
例えば、上場企業の株を持っていれば、時価が公表されていますので、
時価×株式数が相続財産の評価額になります。
不動産に関しても、時価を財産の評価額とする考え方は同じですが、
財産評価基本通達という相続税法の仕組みに基づいて時価を計算することが認められています。
特に、賃貸アパートなどの貸付用不動産は、他人に貸しているから自由に処分できない、
空室リスクがあるという理由も背景にあり、相続評価額が下がる傾向が多いのです。
論点となるのは、この貸付用不動産の市場価格と通達評価額の乖離差を利用して、
相続税や贈与税が大幅に圧縮されている事例がある事です。
つまり、実際の市場価格は高いのに、税金計算に使う評価額が低く計算されるので、
結果的に相続税・贈与税が小さく計算されるのです。
今までこの手法は、税制の範囲内で効果的な相続対策として活用されてきました。
税制改正の内容とは?
上述した通り、相続税対策として貸付不動産を使うと、実勢価格より安い評価になって、
税額が圧縮されるため、その評価の見直しを行う点と、
近年の新築マンションの短期転売が価格高騰の一因とされていて、実需を守る観点からも税制上の措置が必要という事で、改正の方向で動きました。
具体的な改正の内容は、
相続の直前「5年以内」に取得・新築した貸付用不動産は、「通常の取引価額」で評価するというものです。
つまり、被相続人等が課税時期前5年以内に、購入もしくは新築した貸付用不動産は、
相続評価で圧縮できず、市場価格相当額で評価をしなさいという内容です。
ただし、課税上の弊害がない場合、取得価額を基に地価変動等を考慮した価額の「80%」で評価できると注釈されているので、
市場価格が原則的な取り扱いになりますが、一定の救済措置も用意がされているようです。
この改正は、2027年1月1日以後の相続等から適用が開始されます。
実務上の影響は?
今回の改正で影響が出やすいのは、相続直前(5年以内)に賃貸マンション等を購入した、
もしくはこれから購入を検討している方です。
これまでは、貸付用不動産の購入によって、相続評価が大きく下がる想定であったものが、
これからは、通常の取引価額相当額で評価を求められるので、
基本的には相続評価額が上がって、納税や遺産分割に影響が出る可能性があります。
経過措置として、5年前から所有している土地に、この通達の発遣日前に購入・新築した建物は、
相続評価でも構わないとされていますが、法律が改正されるまでのわずかな期間で、
駆け込み需要を満たすことは難しいので、
今まで対策をされていた方、これから対策を検討されている方は、
この改正をきっかけに、対策を見直されるのがよろしいかと思います。
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