2026.02.19
相続
知らなかったでは済まされない?~連帯保証人のリスク~

「連帯保証人」と聞くと、誰かの借金を肩代わりしなくてはいけない、連帯保証人にだけはなるな!という教えを受けた人もいるかもしれません。
相続の現場でも連帯保証人が問題になるケースがあります。例えば連帯保証人の地位を知らずに相続してしまい、ずいぶん後になってから債権者に弁済を求められることもあります。弁済が求められる頃にはすでに相続放棄の期限を過ぎており、債務で首が回らなくなる例も後を立ちません。
このような失敗を防ぐため、亡くなった時点で速やかに連帯保証債務の有無を確認し、相続すべきか的確な判断を行うべきです。
そこで今回は、連帯保証人のリスク、調査方法、その対応策について解説いたします。
1連帯保証人とは?
保証人に認められている2種類の抗弁権を放棄した立場を指す名称です。
亡くなった人が権利放棄したことで、主債務者よりも先に財産の執行(差押えなど)を受けたとしても、これを阻むことができません。
言い換えれば「主債務者とほとんど変わらない責任」を負っており、相続人にとっては借金そのものを承継したことと同義です。
【2種類の抗弁権とは】
1.催告の抗弁権…保証人より先に主債務者に督促状の送付・債権回収訴訟の提起などの催告をするよう求める権利
2.検索の抗弁権…保証人より先に主債務者の財産に対して差押え等の法的回収手続きの執行を行うよう求める権利
債権者目線では有利な契約であるため、保証人に権利放棄させる契約は普及しています。
亡くなった人が「保証人になっている」と一度でも口にしたことがあれば、連帯保証人になっている可能性が高いと考えるべきでしょう。
2連帯保証人も相続の対象になる?
相続財産とは「被相続人の財産に属した一切の権利義務」であり、連帯保証人としての地位も当然承継します。
ここで問題となるのは、相続人自ら積極的に調べない限り、連帯保証人の地位承継になかなか気付けない点です。
主債務者が約束通り返済するかぎり、債権者から保証人に対して何らかのアクション(お知らせや定期報告)は行われません。
連絡がないからといって特に調べずにいる間、何も知らない相続人は、主債務者が完済するまで「保証人に対して財産執行を開始する」と突然言い渡されるリスクに常にさらされています。
3被相続人が連帯保証人かどうか調べるには?
亡くなった人(被相続人)が連帯保証人かどうかいち早く調べるため、まずは「金銭消費貸借契約書」が遺品にないか確かめましょう。
どうしても契約書が見つからないときは、債権者もしくは信用情報機関への問い合わせも検討すべきです。
方法①:金銭消費貸借契約書を確認する
遺品に金銭消費貸借契約書の写しがあれば、保証債務の金額から債権者名・主債務者名まですぐに把握することが出来ます。
相続放棄の是非について判断する時間を確保するためにも、まずは契約書を徹底捜索しましょう。
いざ契約書が見つかっても、その内容を正確に読み取れるとは限りません。
契約書を発見したときは、速やかに実務知識に通じている専門家(弁護士や司法書士)のもとに持ち込んで読んでもらうのが無難です。
方法②債権者or主債務者に問い合わせる
契約書がどうしても見つからないときは、把握している契約当事者(債権者もしくは主債務者)への問い合わせで連帯保証債務の有無を確認できます。
主債務者に問い合わせる場合は、契約内容をうろ覚えで把握している可能性があるため、手元で保管している契約書の写しを見せるよう要請しましょう。
債権者に問い合わせる場合は、後日返済を約束するような「連帯保証人としての地位を認める言動」(=債務の承認)は徹底して避けるべきです。
債務承認にあたる言動をとることで、契約の不存在や時効成立によって本来負わなくてもいい責任(=保証債務)を負わされることになってしまうからです。
方法③:信用情報機関に問い合わせる
法人向け事業融資の保証人になっている可能性がある場合、信用情報機関で契約内容詳細が管理されている可能性があります。
心当たりがあるときは、情報開示手続き(正式名称:本人開示手続き)を行いましょう。
4連帯保証人の地位が発覚したときは?
連帯保証人の地位という“負の遺産”が発覚したときは、全ての財産を承継するかどうか検討する上で、相続放棄または限定承認も並行して検討しましょう。
いずれの手続きも期限はあるものの、検討不足の状態で早まって着手するのはNGで、どちらも保証人の地位を手放す代償として、不動産や預貯金など相続人にとって有益な資産を手放すことになってしまいます。
【被相続人=連帯保証人だと分かったときの3ステップ】
1.保証契約の内容(債務額・抗弁権の有無など)を確認する
2.有益な遺産を使って精算したときの残余額を試算する
3.保証人変更もしくは解除に応じてもらえるか、債権者や主債務者と相談する
⇨それでも単純承認のリスクが大きすぎるなら、相続放棄or限定承認へ
5相続放棄のポイント
相続放棄は限定承認に比べて簡便な手続きですが、遺産の一切を相続しないで手放すことになります。
保証債務の精算後に手元に残る遺産があまりにも少なく、遺産のなかにこれといって残しておきたい資産がないときに選択するものです。
【相続放棄が適しているケース】
- 念入りに調査した結果、有益な資産がほとんどない
- 債務精算の手間に比べ、保証債務を精算した後の残余財産が少なすぎる
- 保証債務額が有益な資産評価額を上回っており、一切相続できなくても構わない
6限定承認のポイント
手元に有益と見なせる程度の財産が残るなら、裁判所による債務精算後に残余財産を受領できる「限定承認」が適しています。
債務清算のための競売では、相続人に「先買権」が認められているため、どうしても手元に残しておきたい資産(土地建物など)を自分で買い取ることも可能です。
【限定承認が適しているケース】
- “負の財産“(保証債務)の評価額がはっきりと分からない
- わずかでも構わないので、できる限り有益な遺産を確保したい
- 遺産のなかに、自腹を切ってでも手元に残したい資産がある
連帯保証人の責任の重さとは反し、被相続人から地位を承継してもなかなかその事実に気づくことが出来ないのが現状です。
「保証人について生前に言及があった」「離れて暮らしているので故人の様子を知ることが出来なかった」というケースでは、念入りに契約書捜索などの調査を行って連帯保証債務の有無をチェックしましょう。
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