2026.03.10
相続
生命保険にも相続税がかかるの?みなし相続財産としての保険

相続が発生した際、相続人が生命保険を受け取ると、「500万円 × 法定相続人」の金額分は相続税が課税されない、
ということをご存じの方もいらっしゃるかと思います。
亡くなった人(被相続人)の財産は、相続人に承継されますが、被相続人の死亡によって支払われる「生命保険金」は、
被相続人から承継する財産といえるのでしょうか。
結論からいうと、生命保険金のうち一定のものは相続税の対象となって、さらに要件を満たせば一定額まで非課税で受け取ることができます。
そこで今回は、相続が発生した場合の生命保険の取り扱いについて詳しく解説いたします。
1生命保険に相続税がかかるかどうか?
民法に定められる相続は、被相続人が元々持っている権利や財産が、被相続人の死亡によって相続人に移転することを指します。
生命保険金は被相続人の死亡によって受け取るお金ですから、相続財産のようにも思えるのですが、これは本来の相続財産ではありません。
生命保険金は、受取人に指定された人の固有の財産として扱われます。
つまり生命保険金は「被相続人」ではなく「受取人」の財産としてみなされます。
正確にいうと、固有の財産となるのは生命保険金を請求できる「権利」ですが、
いずれにせよ被相続人の財産ではないため、本来の相続財産にはなりません。
このことから生命保険金は、原則、相続放棄をした相続人であっても受け取ることができますし、
遺産分割の対象にもならないという本来の相続財産とは異なる特徴があります。
2「みなし相続財産」という考え方
上記の通り民法上、生命保険金は相続財産にはなりませんが、実は相続税法では生命保険金でも相続税の対象になるものがあります。
なぜ本来の相続財産にあたらないものを相続税の対象にするのかというと、
相続税法が財産に公平に課税することを目的としているからです。
生命保険金のように、本来の相続財産ではないものの相続税を計算する上で相続財産とみなされるものを「みなし相続財産」といいます。
ただし、相続税の対象になる生命保険金は、その保険料負担者が、被相続人であるものに限定されます。
それ以外は、別の税金の対象となるので注意が必要です。
|
被保険者 |
受取人 |
保険料負担者 |
税金の種類 |
|
被相続人 |
相続人 |
被相続人 |
相続税 |
|
被相続人 |
相続人 |
相続人 |
所得税 |
|
被相続人 |
相続人 |
他の相続人など第三者 |
贈与税 |
3生命保険金を受け取ると税務署に知られる?
保険会社には、100万円を超える生命保険金の支払いを行った場合、その支払先や金額などを記載した支払調書を税務署に提出する義務があります。
つまり、100万円を超える生命保険を受け取ったことは、税務署が把握しているため、
指摘されやすいポイントであり、申告の際には漏れがないように注意が必要です。
4生命保険金の名義変更に相続税がかかることも
生命保険に関して、みなし相続財産として相続税の対象になるものがもう一つあります。
生命保険の契約者変更に伴う「保険契約の権利の移転」です。
たとえば、夫が妻を被保険者とする生命保険に加入し、夫が保険料を負担していたとします。
この時、妻より先に夫が亡くなると、夫が契約した生命保険は、生命保険会社に手続きを行うことによって、契約名義をお子さんなどに変更することができます。
この生命保険が、一般的な定期保険(いわゆる掛け捨ての保険)であれば相続税の対象にはなりません。
しかし、解約返戻金等のある保険(いわゆる貯蓄性のある保険)の場合、その解約返礼金相当の財産の移転があったものとみなされます。
この解約返戻金相当額が、みなし相続財産に該当します。
5生命保険金の非課税限度額
相続人が受け取った生命保険金のうち、「500万円×法定相続人の数」までの金額であれば、
相続税は課税されません。
この課税されない金額を、非課税限度額と呼びますが、もし相続人が受け取った生命保険金の合計額が非課税限度額以下であれば、
生命保険金の全額が非課税となります 。
これに対し、相続人が受け取った生命保険金の合計額が非課税限度額を超えていれば、
各相続人の生命保険金の額の比率で非課税限度額を分けます。
計算式は次のとおりです。
各相続人の非課税額
非課税限度額 × その相続人が取得した生命保険金 ÷ 全相続人が取得した生命保険金の合計額
【例】生命保険金の額が非課税限度額を超えるケース
▼各人が取得した生命保険金
・配偶者 1,200万円
・長男 500万円
・次男 300万円
合計 2,000万円
▼法定相続人
配偶者、長男、次男
▼非課税限度額の計算
500万円×3人=1,500万円
▼各人に適用される非課税額
生命保険金の合計(2,000万円)が非課税限度額(1,500万円)を超えるので、非課税限度額をそれぞれの生命保険金の比率で分配します。
・配偶者 900万円(1,500万円×1,200万円/2,000万円)
・長男 375万円(1,500万円×500万円/2,000万円)
・次男 225万円(1,500万円×300万円/2,000万円)
▼生命保険金の課税価格
課税価格は、生命保険金から非課税額を控除した金額になります。
・配偶者 300万円(1,200万円-900万円)
・長男 125万円(500万円-375万円)
・次男 75万円(300万円-225万円)
非課税限度額を超過した分は、相続税の課税価格に計上され、他の相続財産と合わせて相続税の課税対象になります。
Contact us
お問い合わせ下さい
日本クレアス税理士法人では、質の高いサービスをご提供する事で、相続問題にお悩みの方をワンストップでサポートいたします。
是非お気軽にお問合せください。