2026.08.03
会計・税務
インボイス制度が変わる!
令和8年10月からの仕入れ側の改正ポイント
消費税のインボイス制度が導入されてから一定期間が経過し、実務的な対応も定着しつつあります。
しかし、事業者の負担感や取引への影響を踏まえ、税制改正によって各種措置の見直しが進められています。特に令和8年は、制度の大きな転換点となります。
本記事では、税令和8年10月1日以降に影響がある税制改正のうち、仕入れ側(買い手側)に影響のある「免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直し」についてわかりやすく解説します。
免税事業者からの仕入れに係る経過措置の見直し
①経過措置の期間の延長と控除割合の変更
前提として、インボイスを発行できない免税事業者(インボイス未登録事業者)からの仕入れについては、消費税の控除ができません。
しかし、免税事業者等からの仕入れであっても、一定期間は一定割合を控除できる「経過措置」が設けられています。
今回の改正では、この経過措置の期間が2年間延長された上で、控除割合がより細かく、段階的に縮小されるスケジュールに見直しがされました。
【仕入税額控除割合の推移】

控除できる割合が段階的に減っていくため、毎期の会計処理の負担や消費税負担に直接影響します。
例えば、インボイス未登録事業者のフリーランスへの発注が多い事業者の場合、令和8年9月30日までは仕入れ税額の80%、令和8年10月1日以降は仕入れ税額の70%が控除されます。
10月前後で消費税区分が異なるため、記帳誤りや計算ミスがないよう注意が必要です。
②1億円超の取引先に対する制限強化
税制改正により、取引規模の大きい事業者に対しては経過措置の適用が制限されます。
具体的には、同一のインボイス未登録事業者からの仕入れ合計額(税込の支払対価)が、その年または事業年度で1億円を超える場合、「1億円を超えた部分」の仕入れについては経過措置が適用できなくなります。経過措置が適用できないということは、1億円を超えた分の仕入れは、原則通り消費税の控除が一切できなくなるということです。
ここで注意したいのは、1億円の判定は「仕入れ事業者全体の仕入総額」ではなく、「相手先(取引先)ごとの総額」という点です。
例えば、年間仕入総額が5億円あったとしても、インボイス未登録の各取引先からの仕入額がそれぞれ1億円以下であれば、制限はかからず経過措置が適用されます。
一方で、インボイス未登録事業者であるA社からの仕入れが年間で1億2,000万円になった場合には、1億円に達するまでの1億円分には経過措置(70%控除等)が適用されますが、超えた「2,000万円分」については経過措置が適用できず消費税は控除できません。
建設業の外注費や不動産業の建物仕入れなど、1回あたりの取引額が大きい業種では意図せず1億円の上限に達するリスクが高まるため、取引先ごとの年間支払額の集計・管理がこれまで以上に重要になります。
まとめ
インボイス制度における「仕入れ側の経過措置の見直し」は、消費税負担額だけでなく、取引先管理や日々の経理・記帳実務に直結します。
特に令和8年10月以降は、控除割合が80%から70%へ引き下げられるとともに、取引先ごとの「年間1億円上限」というルールが適用されます。
取引先のインボイス登録状況の再確認や、年間支払額を可視化する管理体制の整備など、早めに準備を進めていきましょう。