2026.10.08
会計・税務
交際費とは? 税務調査で確認されるポイントを解説

皆さま、こんにちは。
税務署の人事異動の関係もあり、税務調査は例年夏から秋にかけて増加します。
実際に今まさに対応中、という会社様もいらっしゃるのではないでしょうか。
税務調査で必ずと言ってよいほど確認される項目の一つが「交際費」です。
経営者の方の中には、「仕事で使ったお金なのだから、当然経費になるのでは?」と思われる方も少なくありません。
しかし税務の世界では、交際費は単純な経費ではありません。
今回は、税務調査でも頻繁に論点となる「交際費」について、その基本的な考え方と実務上の注意点を解説します。
1そもそも交際費とは?
法律では、交際費とは、「得意先や仕入先など事業に関係する相手への接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用」とされています。
(租税特別措置法61条の4第6項に基づき筆者要約)
少し難しい表現ですが、簡単に言えば、
・取引先との会食
・お歳暮やお中元
・取引先への慶弔費
・得意先の接待
など、事業上の関係を維持・発展させるための費用です。
また、相手先は必ずしも取引先に限りません。自社の役員や従業員、その親族との関係性向上のために支出した費用も、交際費となるケースがあります。
一方で、何かをプレゼントをしたからといって、全て交際費となるわけではありません。
通達で、以下のものは交際費等には含まないと規定されています。
・寄附金
・値引き及び割戻し
・広告宣伝費
・福利厚生費
・給与等
(租税特別措置法関係通達61の4(1)-1に基づき筆者要約)
例えば、事業と関係のない相手先への贈与は寄附として、社内規定等に基づき従業員へ支給する弔慰金は福利厚生費として扱われます。
2なぜ税務調査で見られやすいのか
では、なぜ税務調査で交際費がよく確認されるのでしょうか。
理由の一として、領収書だけでは実態が分からない点が挙げられます。
例えば、「〇月〇日 レストラン代 55,000円」という領収書があったとします。
これだけでは、
・取引先との接待だったのか
・社員だけの懇親会だったのか
・役員個人の飲食だったのか が分かりません。
調査官が知りたいのは、その支出の中身です。
実際の調査では
「誰と飲食したのですか」
「取引先との関係を教えてください」
といった質問が頻繁に行われます。
また、寄附金や福利厚生費等の隣接科目との線引きも、よく確認がされます。
3交際費は損金にならない?
交際費の金額については、法人の規模によって税務上の取扱いが異なります。
大まかに言うと、交際費のうち損金(法人税計算上の費用)となる金額は以下の通りです。
- 資本金100億円超の法人:ゼロ円
- 資本金1億円超100億円以下の法人:接待飲食費の金額の50%
- 資本金1億円以下の法人※:接待飲食費の金額の50%または年間800万円
大法人の100%子会社、グループ通算子法人については一部取扱いが異なりますが、ここでは割愛します。
中小企業では「800万円まで使える」と理解されることもありますが、実際には会社の状況によって適用関係が変わるため注意が必要です。
4「交際費」と「接待飲食費」の違い
先の項目2.3.の法人については、接待飲食費の金額の50%が損金となります。
接待飲食費とは、取引先や仕入先など社外の関係者との飲食に要した費用を言います。
あくまでも社外関係者を接待するための費用ですので、役員や従業員のみで要した飲食費は、接待飲食費に該当しません。
ここで注意したいのは、「交際費」と「接待飲食費」は同じではないという点です。
接待飲食費は、交際費のうち飲食に関する部分を切り出した概念であり、税務上は50%を損金とできる優遇措置が設けられています。
5ぜひ活用したい「1万円基準」
実務上、特に重要なのが「1万円基準」です。
取引先など社外関係者との飲食について、一人当たり1万円以下であれば、一定の要件のもと交際費等から除外することができます。
つまり、交際費として損金算入枠を消費しないため、結果として全額損金になるケースが多いのです。
ただし、適用には要件があります。
飲食の日付、参加者、人数、飲食店名、金額、目的などを会計帳簿に記載しなければなりません。
(国税庁HP:接待飲食費に関するFAQ,「帳簿書類への記載事項①」ほか)
税務調査でも、上記の要件が記載されているかに加え、「誰と飲食したか」「本当に社外関係者が参加していたか」は細かく確認されます。
6おわりに
交際費は、経営者にとって最も身近な経費の一つです。
しかし税務上は、寄附金、給与、福利厚生費などとの境界線が曖昧で、思った以上に奥が深い分野でもあります。
税務調査は過去の取引を確認する手続ですが、その結果を左右するのは支出した時点での記録です。
交際費については、「使い方」だけでなく「残し方」も意識しておきたいところです。
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