2026.08.10
相続
財産分与にも税金がかかる?
離婚による財産分与の注意点

財産分与を請求する権利は、法律上どの夫婦にも認められています。
結婚生活中に築いた資産はすべて夫婦の共有物と見なされ、離婚にあたって分割の合意を済ませる権利義務が生じます。
実際には、法律上認められた権利にも関わらず
「離婚原因を指摘されて財産分与に応じてもらえない」「別居と同時に財産を隠された」等のトラブルが多数存在します。
財産分与の割合・範囲を巡って激しい意見対立が起こりやすいことも否めません。
そこで今回は離婚による財産分与の基礎知識と贈与税の課税関係についてご紹介します。
1財産分与とは?
財産分与とは、夫婦が結婚生活中に築いた財産を「共有財産」とみなして、
離婚に際して配偶者へ分割を請求する権利です。
請求時に意見が折り合わず、もしくは相手が応じようとしない場合には、
家庭裁判所に財産分与の要否と割合について判断を仰ぐことも認められます。
財産分与請求権は離婚時に無条件に生じるものであり、請求時効(除斥期間)以外に消滅する要件はありません。
よくある「不倫された側が財産分与に応じる筋合いはない」「家事中心で世帯収入に全く貢献してないのだから財産分与しない」
といった主張は、法的合理性に欠いています
つまり、離婚原因や夫婦それぞれの所得がどうであれ、離婚の際は必ず共有財産を分割する話し合いを進める権利義務が発生するのです。
※本記事で以降詳しく紹介するのは、夫婦共有財産を対象とする清算的財産分与を解説します。
清算的財産分与(民法第768条)
結婚生活中に夫婦が協力して築いた資産について、その共有名義を解消する目的で分割を実施する内容の合意事項を指します。
2財産分与の対象になるもの・ならないもの
財産分与の対象になるのは婚姻期間中に新しく形成された財産のすべてであり、ここまでの解説で使用したように「共有財産」と呼称されます。
一方で、結婚前もしくは別居生活中の新得財産は「特有財産」と呼称され、財産分与の対象からは除外されます。
財産分与の対象になるもの(共有財産)
共有財産とされるものには、以下のような資産が含まれます。
現金や住宅などのプラスの資産だけでなく、結婚生活のために生じた債務(マイナスの資産)も財産分与の対象となる点に注意しましょう。
【一例】財産分与の対象になる「共有財産」
- 現金・預貯金(“へそくり“含む)
- 夫婦が居住するために購入した住宅
- 夫婦が共有していた自家用車、家具家電・その他家財類
- 有価証券(株式・債券など)
- 各種保険(学資保険・生命保険など)
- 年金の支払い記録、退職金
- 共同出資した事業用資産
- その他債務(生活費支出目的の借金など)
財産分与の対象にならないもの(特有財産)
一方で下記のようなものは、夫婦いずれかの単独名義に属する「特有財産」とみなされます。
どのような理由であれ財産分与請求は行えないことに注意しましょう。
【一例】財産分与の対象にならない「特有財産」
- 実家から相続した財産
夫婦どちらかの血縁関係者の死亡により承継した財産は、たとえ婚姻期間中に受け取ったものでも「特有財産」とみなされます。
そもそも相続権は姻族(結婚相手の血脈に連なる親族)には発生せず、あくまでも相続人と死亡者との血縁関係に基づいて承継されるものだからです。
- 結婚前または別居後に取得した財産
先述の通り、婚姻期間とみなされるのは「同居中」のみです。
結婚前もしくは別居後に形成した貯金・購入した家電類は、財産分与の対象に含めることが出来ません。
- 単独で出資した事業用資産・自社株式
夫婦の一方が事業経営者である場合、単独で出資した自社株式や資産は財産分与の対象になりません。
ただし、配当金など婚姻期間中の価値上昇分については「共有財産」として財産分与の請求が認められます
一般的な夫婦生活では、共有財産と特有財産の混同が進んでいくものです。
分かりやすい例として「独身時代に買った家電を家庭内で使う」といったものが挙げられます。
しかし離婚時の財産分与に際しては、両者を厳密に区別しなければなりません。
3財産分与の割合とは
財産分与の割合は“婚姻生活への貢献度”に準じるものと考えられ、就労も家事も平等に貢献として評価するのが原則です。
この司法の価値観に従い、過去の離婚ケースではほとんどのケースで「夫婦それぞれ50%ずつが妥当」と判断されています。
4財産分与の方法
財産分与を実施する際は、夫婦で「共有財産の確認」「分割方法」などの項目について協議し、
最終的な合意事項を書面にまとめるのが基本です(協議離婚)。
協議が折り合わない・そもそも対面はなるべく避けたい等の事情がある場合は、
民法で定められる通り家庭裁判所を通して分与の詳細を取り決めます。
離婚問題が裁判所に持ち込まれる際は「調停前置主義」が取られており、
訴訟よりも先に調停で合意を目指さなければなりません(調停離婚)。
5財産分与に税金はかかる?
結論を述べると、配偶者から分与された財産に贈与税が課税されることは原則ありません。
財産分与とは「もともと共有に属していた財産を単独名義に変える手続き」であり、贈与にはあたらないからです。
ただし、分与を受けた財産が多すぎる場合や、離婚そのものが課税を逃れるために行われたと判断される場合には、贈与税申告の義務が生じます。
6まとめ
夫婦が協力して築いた資産を分割するための「清算的財産分与」は、所得・離婚原因によらず請求権が認められます。
扱いが難しいのは分与対象である共有財産の判断であり、時として弁護士権限を活用した調査が必要にならざるを得ません。
年金分割・支給予定の退職金分割など、経済的自立を果たす上で忘れてはならない資産があることにも要注意です。
財産分与では夫婦のあいだで知識や認識の齟齬が生じがちです。
関係悪化した相手と金銭について話し合うことそのものが精神的負荷の多い作業だと言わざるを得ません。
分割忘れ等の後々のトラブルを防ぐためにも、
個別のケースについて見通しを立てながら交渉を進められる弁護士等の専門家に相談することをおすすめします。
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