2026.09.08

相続

非上場株式評価の改正続報!2028年改正が与える影響

事業承継自社株評価非上場株式相続税

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2026年8月20日に「取引相場のない株式の評価に関する有識者会議(第5回)」が開催されました。

取引相場のない株式、いわゆる未上場株式の評価について現時点では見直しの方向性が示されていて、

多くの中小企業に影響を及ぼすものと想定されています。 

取引相場のない株式評価はどう変わるのか、多くの方々が関心を寄せている内容と言えるでしょう。 

 

そこで今回は、非上場株式の評価の内容やその影響についてお話しします 。

※2026年9月現在において議論されている段階であり、確定した税制改正ではありません。 

改正の趣旨

まず今回の改正内容は、非上場株式の相続税・贈与税評価について、企業の実態に即した、 

より公平で合理的な仕組みに改めることが検討されています。 

 

現行制度では、会社規模に応じて類似業種比準方式と純資産価額方式を使い分けるため、 

同程度の企業価値を有する会社であっても、規模や株主構成などによって評価額に大きな差が生じます。 

また、会社規模、利益、株主構成などを意図的に操作し、評価額を圧縮する租税回避スキームも問題となっています。 

 

さらに、継続企業を解散・清算時の価値に近い「時価純資産」で評価することや、 

上場会社の株価を基礎とする類似業種比準方式を中小企業に適用することの妥当性も問われています。 

そこで、企業規模による区分を縮小・廃止し、保有資産だけでなく収益力も反映する共通の評価体系を構築することが、

今回の見直しの中心的な目的です。 

改正の内容

見直しの軸として示されているのが、インカムアプローチの一つである「残余利益方式」です。

これは、直前期末の簿価純資産を基礎として、企業が通常期待される利益を上回って獲得した「超過収益」の数年分を加減して、

株式を評価する方法です。 

 

土地などを時価に洗い替えるのではなく、継続使用を前提とした帳簿価額を用いるため、 

現行制度よりも資料収集や計算を簡素化できる可能性があります。 

一方、期待収益率を上回る利益を継続的に計上する会社は簿価純資産を超える評価となり、

赤字会社や低収益会社は簿価純資産を下回る評価となることが想定されています。 

期待収益率については、上場株式の平均期待収益率などを参考に、CAPMなどを用いて設定する案が示されています。 

 

純資産価額方式は原則的な評価方法ではなく、特定の評価会社に限定して残す方向で検討されています。 

また、配当還元方式についても廃止するのではなく、配当以外の経済的利益を期待できない少数株主のための例外的な評価方法として、

対象株主の範囲や最低配当額などを見直したうえで存続させる考えです。 

 

あわせて、会社規模や利益の一時的な操作、グループ法人税制を利用した資産・利益の移転、

株主構成や議決権割合の操作による評価圧縮への対応も検討されています。 

非経常的な利益・損失を除外した正常利益による評価や、完全支配関係にある法人をグループ全体で評価する考え方も示されています。 

改正による影響

最も大きな影響を受けると考えられるのは、収益力の高い会社です。 

現行評価では純資産や配当を基礎として評価額を抑えられていた会社でも、超過収益が直接反映されることにより、

株価が大幅に上昇する可能性があります。 

特に、高収益企業、成長企業、無形資産や営業権の価値が大きい企業は注意が必要です。 

 

反対に、資産を保有していても収益性が低い会社や赤字会社では、評価額が簿価純資産を下回る可能性があります。

ただし、正常利益の算定方法や期待収益率の設定によって評価額が変動するため、算定が簡素化される一方で、

新たな判断項目が生じることも予想されます。 

 

また、持株会社化、グループ内の資産移転、従業員持株会、固定価格による株式の買取り、無議決権株式を用いた承継対策など、

従来有効とされてきた手法にも影響が及ぶ可能性があります。

相続・贈与だけでなく、事業承継、組織再編、ストックオプション制度にも波及することが考えられます。 

今からやるべきこと

まず、自社株式について、現行方式と残余利益方式による試算を行い、評価額が上昇する会社なのか、

低下する会社なのかを把握する必要があります。 

その際、直前期末の簿価純資産に加え、過去5年程度の利益を整理し、役員退職金、資産売却益、

オペレーティング・リース損益などの一時的・非経常的要因を除いた正常利益を算定します。 

 

次に、グループ会社間の資産・利益移転、株主構成、議決権割合、従業員持株会、種類株式、固定価格による買取制度を一覧化し、

見直し後も評価上の合理性が認められるかを点検することが重要です。 

 

現段階で結論を急ぐ必要はありませんが、自社株評価が上昇する可能性の高い会社では、贈与、持株会社化、

事業承継税制の利用を含む承継計画について、実施時期を再検討する必要があります。 

制度確定後に初めて試算するのではなく、あらかじめ複数の評価シナリオを用意し、改正内容と適用時期が明らかになった段階で、

速やかに対応できる体制を整えておくことが大切です。 

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