2026.09.18

相続

超富裕者層を狙い撃ち?!~ミニマムタックスの改正~

ミニマムタックス分離課税所得税ふるさと納税税制改正

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給与所得や事業所得には、所得が増えるほど税率が上がる累進税率が適用されています。 

一方、株式や不動産などの譲渡所得には、原則として所得税と住民税の合計として20%の分離課税が適用されます。 

そのため、高所得者のうち所得全体に占める株式譲渡益などの割合が高くなると、

所得が増えても平均的な所得税負担率が低下する現象が生じていました。 


そこで、譲渡所得の税率そのものは維持しつつも、年間の所得が極めて高く、

通常の所得税負担が一定水準を下回る人だけに追加負担を求める仕組みとして、令和5年度税制改正でミニマムタックスが創設されました。 

 

そこで今回はミニマムタックスの概要やその留意点についてお話しします 

ミニマムタックスの概要

「ミニマムタックス」とは、個人の超高所得者に対する最低税負担制度のことで、 

正式には、租税特別措置法第41条の19の「特定の基準所得金額の課税の特例」を指します。

 

次の2つの金額を比較して、の金額がを上回る場合、その差額を追加で納付します。 

通常の方法で計算した所得税額 

(基準所得金額-3億3,000万円)×22.5% 

 

基準所得金額には、給与所得や事業所得だけでなく、上場株式・非上場株式の譲渡所得、土地建物の譲渡所得などの分離課税所得も合算されます。 

また、申告不要を選択した上場株式等の配当・譲渡所得も判定対象に含まれます。 

 

基準所得金額が3億3,000万円を超えたからといって、直ちに追加納税が発生するわけでなく、

通常の所得税額が最低税額以上であれば、追加納税はありません。 

2027年分からの改正内容

2027年1月1日から12月31日までに生じる所得については、 

上記②の金額が下記の計算式に修正されます。 

(基準所得金額-1億6,500万円)×30% 

 

項目 

2026年分まで 

2027年分以後 

特別控除額 

3億3,000万円 

1億6,500万円 

税率 

22.5% 

30% 

適用開始 

2025年分から 

改正部分は2027年分から 

 

例えば、基準所得金額が10億円の場合、改正後の最低税額は、単純計算で次のとおりです。 

10億円-1億6,500万円)×30%=2億5,050万円 

 

仮に通常の所得税額が2億円であれば、概算で5,050万円の追加納税が生じます。 

 

特に影響が大きいのは、上場株式・非上場株式の売却、M&Aによる創業者利益、土地建物の売却など、

低い分離課税率が適用される所得が多い方です。 

それらの所得は、分離課税によって20%程度の税率で課税されていますので、

給与・事業所得などと合算して所得を計算すると、⓶の金額が過大になる傾向にあります。 

ふるさと納税への影響

ミニマムタックスが適用される方は、所得税の寄附金控除によって通常の所得税が減っても、

追加税額が増えることがあります。その場合、所得税部分の控除効果が実質的に失われ、自己負担が通常の2,000円を超える可能性があります。 

具体的な数値を用いて見てみましょう。 

〇所得がキャピタルゲイン(所得税率15%)のみで10億円、ふるさと納税なしの場合 

通常の所得税:10億円×15%=1億5,000万円 

ミニマムタックスの基準額:(10億円 − 3億3,000万円) × 22.5% = 15,075万円 

→②-⓵で差額75万円を追加納付 

〇所得がキャピタルゲイン(所得税率15%)のみで10億円、ふるさと納税額400万 

※ふるさと納税額のうち、自己負担額の2,000円を引いた400万円を所得から控除 

 通常の所得税:(10億円 − 400万円)×15%=1億4,940万円 

ミニマムタックスの基準額:(10億円 − 3億3,000万円) × 22.5% = 15,075万円 

→②-⓵で差額の135万円を追加納付 

上記のように、ふるさと納税の控除はミニマムタックスの基準額の計算では考慮されません。

通常通り計算した所得税よりもミニマムタックスの基準額が高い場合、結果としてふるさと納税による所得税の控除は行われないということです。 

 

住民税の控除まで一律に失われるわけではありませんが、

通常のふるさと納税シミュレーションはミニマムタックスを考慮していない場合があるため、超高所得者については個別計算が必要です。 

まとめ

2027年に株式や不動産の売却で、大型の取引を予定している方は、 

給与、事業、配当、株式譲渡、土地建物譲渡などを合算した基準所得金額を計算したうえで、 

通常の所得税額と、改正後の最低税額を比較する必要があります。 

 

そのうえで、株式や不動産の売却時期を2026年と2027年のどちらにするか検討が必要です。 

特に、2027年に創業者株式の売却やM&Aを予定している場合、売却時期が1年異なるだけでミニマムタックスの計算式が大きく変わるため、

手残りのキャッシュを確保するためにも早めの試算をおすすめいたします。 

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