2026.10.13

相続

欲しい返礼品が選べなくなる?
~ふるさと納税の基準の明確化~

所得税ふるさと納税税制改正

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ふるさと納税は、全国の自治体に寄附を行う事で寄附額が所得税と住民税から控除される制度です。

ふるさと納税は、「確定申告」もしくは「ふるさと納税ワンストップ特例制度」の手続きを行うことで利用できますが、

12月末までに自治体にお金を寄附して、定められた期限までに申告を行う必要があります。 

 

各自治体が用意する返礼品は、飲食品や衣料品、趣向品など、様々なものが用意されていますが、

一定の基準をクリアしないと、返礼品とは認められません。 

その基準が令和8年10月1日以降の寄附から変わることになります。 

この基準を満たさない自治体は、ふるさと納税の対象団体として指定が取り消される厳しい仕組みです。 

 

そこで今回は、新しく施行されるふるさと納税の指定基準についてお話しします。

1ふるさと納税の指定基準等について

総務大臣が定める基準に適合した地方団体が、ふるさと納税の対象団体として指定される仕組みで、

下記基準のいずれかに適合しなくなったと認められる場合、指定が取り消されます。 

基準1:募集適正基準制度の趣旨に沿った寄附募集方法であること 

                  経費の割合は寄附総額の5割以下であること 

基準2:返礼品の割合は寄附額の3割以下であること 

基準3:地場産品基準 地場産品として総務大臣が定める基準に適合するものであること 

 

令和8年10月1日以降から上記の基準3「地場産品基準」の運用が厳格化されます。 

運用に沿って証明事項を公表できない場合、ふるさと納税の返礼品として提供することができなくなります。 

つまり、ふるさと納税の返礼品として登録するためには、総務省が示す地場産品基準を満たす必要があります。 

地場産品基準とは

1号 その市で生産されたもの 

2号 その市内で原材料等の主要な部分が生産されたもの 

3号 その市内で返礼品等の製造、加工その他の工程のうち主要な部分を行うことで付加価値が生じているもの 

2令和8年10月1日以降から適用される改正内容

1.付加価値基準の明確化

令和8年10月に適用される改正内容は、上記地場産品基準第3号に該当する返礼品については、

これまで「区域内での工程が価値の過半を占めること」とされていた基準に新たに基準が追加されます。 

 

◇追加される基準 

  • 製造者等による証明の義務化

 総務省が定める標準的な算定方法に基づいて返礼品等の製造等を行う事業者が「価値の過半が区域内の工程で生じていること」を証明する必要があります。 

  • ホームページ等での公表

 地方団体が寄附募集を開始するまでに、上記の証明内容を地方団体のホームページ等で公表しなければ返礼品として認められなくなります。 

 

現状は、製品等の返礼品は、区域内で「相応(過半)の付加価値が生じている」ことが要件ですが、

付加価値の算出方法は地方団体に委ねられているので、同じ製品等について複数の団体が自らの地場産品と主張することができて、

本当に区域内で付加価値の過半が生じている地場産品であるか疑義が生じています。 

 

この改正後には、付加価値割合の算出方法が原則価格に基づく算出になるため、

製造・加工等の返礼品について、返礼品の製造等を行う事業者が価値の過半が区域内で生じたことを証明するとともに、

返礼品提供開始日までに地方団体がその証明事項を一覧で公表することになります。 

2.調達費用の妥当性

返礼品を算出する際の基礎となる「調達費用(地方団体への納入価格)」は、合理的かつ妥当なものでなければなりません。 

一般消費者に対して販売する「通常の販売価格(一般販売価格)」より合理的な理由がなく高額な設定で地方団体に納入している場合、

付加価値基準の適合性に疑義が生じます。 

 

「通常の販売価格(一般販売価格)」についても、地方団体のホームページ等での公表が必須となります。 

例えば、返礼品の価値が10万円、区域外で生じた費用が4万円なら、区域内の付加価値割合は「(10万円-4万円)÷10万円=60%」です。

自治体への納入価格を不合理に高くして割合を満たすことは認められず、通常の一般販売価格も確認・公表の対象になります。 

 

ふるさと納税返礼品の基準見直しについては、新規で提供を開始するものだけでなく、

令和8年10月以降に返礼品として提供する全ての返礼品が対象になります。 

証明事項を公表できない場合、返礼品として提供することができなくなります。 

3自治体が寄附金を活用できる割合

「寄附金活用可能額」は、受け取った寄附金の合計額から、返礼品の調達・発送や寄附の募集などに要する費用を差し引いた額です。

新たな指定基準では、この額が寄附金総額に占める割合を段階的に引き上げます。 

 

自治体の指定対象期間 

寄附金活用可能額の下限 

募集費用に充てられる割合の上限に換算 

2026年10月~2027年9月 

52.5% 

47.5% 

2027年10月~2028年9月 

55% 

45% 

2028年10月~2029年9月 

57.5% 

42.5% 

2029年10月以降 

60% 

40% 

 

これは寄附1件ごとに52.5%が特定の事業へ直ちに支出されるという意味ではなく、指定対象期間中の寄附金と募集費用を合計して判定する基準です。

自治体には、活用可能額の使途に関する事項を公表することも求められます。 

なお、返礼品の調達費用を寄附額の3割以下とする基準とは別の論点です。 

 

寄附する側にとっての実務的な注意点は、以前選んだ返礼品が現在も掲載されているか、内容や寄附額が変わっていないかを申込時に確認することです。 

今回の改正は、寄附者全員の税控除率や自己負担額が引き下げられるわけではありません。 

ただ、地場産品基準のうち、区域内で製造・加工する返礼品について、区域内で生じた価値の証明・公表が厳格化されたので、

基準を満たせない、または証明できない品を選べなくなる可能性があります。 

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