中村亨の「ビジネスEYE」です。
今年のゴールデンウイークは、
3年ぶりに新型コロナウイルスの緊急事態宣言が発令されない連休となり、久しぶりにご実家に帰省された方も多かったのではないでしょうか。
普段は話しにくい老後や介護などについても、いざというときに困らないように、早いうちにご家族で話し合っておくのがよろしいかと思います。
厚生労働省のデータによると、65歳以上の高齢者で認知症を患っている方は、2012年で462万人、2025年には約700万人になると推測されており、65歳以上の5人に1人が認知症患者になるといわれています。
また、2021年時点での要介護(要支援)認定者数は679万人で、認知症、介護者ともに年々増えています。
このような介護や認知症に備える方法として、今回のビジネスEYEでは、介護保険についてお話しいたします。
介護にかかる費用・期間とは
生命保険文化センターによる「2021年度 生命保険に関する全国実態調査」によると、介護に要した費用(公的介護保険サービスの自己負担費用を含む)のうち、一時費用(住宅改造や介護用ベッドの購入など一時的にかかった費用)の合計は平均74万円となっています。
また、毎月必要な介護費用は月平均8.3万円ですが、10万円以上支払った方の割合は約30%に上ります。
介護期間は平均61.1カ月(5年1カ月)となっていますので、仮にこの期間介護が必要になったとすると、
(一時金)74万円+(8.3万円×61.1カ月)=約581万円
が必要になります。
介護保険とは
介護保険には、「公的な介護保険制度」と「民間の介護保険」の2種類があります。
前者は、全国の自治体が運営主体で介護が必要な方が適切なサービスを受けられるようにサポートするもので、
後者は、保険会社が販売している商品で、公的な介護保険の不足部分を補いつつ、介護の経済的な負担を減らすためのものです。
公的介護保険
介護保険制度とは、高齢や障害に伴って身体能力や認知能力が衰えてしまい、要支援者・要介護者となった方に対して介護費用を一部給付する制度です。
国の制度ですが全国の市区町村が制度の運営主体としての役割を果たしています。
40歳以上の全国民が加入を義務付けられており、訪問介護やデイサービス等が自己負担1~3割で利用できます。
ただし、近年増えている住宅型有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の住居費用は保険適用外ですので注意が必要です。
民間介護保険
生命保険会社が提供している、
認知症や要介護状態になった時に給付金が得られる保険制度です。
認知症や要介護者の割合が増えていることや、有料老人ホームなど公的介護保険でカバーしきれない費用に備えて、加入を検討する人が増えています。
このように、民間の介護保険は公的介護保険の補完的役割を担っていますが、人によって必要な保険金額や保障内容に対する考え方は異なります。
現在では、多くの保険会社から介護保険が発売されておりますので、ここからは商品を選ぶ際の具体的なポイントをご紹介いたします。
各保険会社の商品の違い
各保険会社から提供されている商品を選ぶ際は、下記4項目を確認していただく必要があります。
- 保険期間
- 給付要件
- 貯蓄性
- 保険金の受け取り方法
保険期間
大きく以下の2つに分けられます。
<定期型>
一定の期間のみ保障してくれるタイプの保険。
終身型と比べて保険料は安く、更新毎に保障内容を見直すことができます。
一方、更新すると年齢に応じて保険料が上がります。
<終身型>
保障が一生涯続くタイプの保険で、保険料が途中で上がることはありませんが、保障期間が長い分、定期型と比べると保険料は高めになります。
給付要件
保険会社によって、認知症で保険がおりるのか、
要介護1や要介護3で受け取れるのか等の要件が異なります。
また、いくつかの条件を組み合わせられるものもあります。
貯蓄性
主に掛け捨て型と、積立型があります。
掛け捨て型は、満期になった時や解約したときにお金が戻ってこないタイプの保険で、
その分保険料は安めに設定されています。
一方積立型は、満期になった時や解約したときにお金が戻ってくる保険です。
途中で解約した場合は返ってくるお金が少なくなるものの、
保険料の支払機期間が終わってから解約した場合、
今まで支払った保険料以上の解約返戻金を得られるケースが多いです。
保険金の受け取り方法
一時金として受け取る方法と、年金として毎年受け取る方法があります。
「一時金」は初期費用に、「月々の年金」は月々の必要資金に利用することができます。
また、加入時に指定代理請求人や家族登録制度を指定しておけば、
いざ契約者が認知症なった場合にも家族がサポートすることができます。
民間介護保険のメリット・デメリット
民間介護保険にご加入を検討される場合には、
以下のメリットとデメリットをご参考にしていただきたいと思います。
メリット
- 介護の経済的な負担を軽減できる(資金準備)
- 所得税や住民税が節税できる(生命保険料控除が受けられる)
- 各個人の希望に合わせて、金額や保障範囲を決めることができる
デメリット
- 保険料がかかる
- 生涯で、認知症や介護にかからなかった場合は保険金を受け取ることができない
保険料は継続的な支払いが必要となるため、月々の生活費に支障がない程度の金額にしておく必要があります。
保険は、認知症や要介護になってからでは原則加入することができません。
将来の認知症・介護リスクに備えるためには、健康なうちに加入する必要があります。
また、年齢や性別、求める介護サービスなどによって、それぞれに合った保障は異なります。
日本クレアス財産サポートでは現在加入している保険の見直しや、
どの保険を選べば良いか分からないなどお悩みの方がいらっしゃれば弊社のプランナーが ご相談に賜りますのでお気軽にお声がけ下さい。
日本クレアス税理士法人|日本クレアス税理士法人│コーポレート・アドバイザーズでは、会計の専門家の視点から、経営者の次の智慧となるような『ヒント』をご提供しています。