インボイス制度導入と各種補助金の活用、そして税務上の取扱い(vol.592)


こんにちは、中村亨です。

2023年10月より消費税インボイス制度が導入されます。
導入後は、売り手が適格請求書(インボイス)を交付することにより、買い手でそのインボイスの保存をもって仕入税額控除を行う必要があります。
これまでよりも記載要件が厳格になり、請求書の入力やチェック、さらに管理に係る工数及びコスト負担が大きくなるのは必至です。

つまり、請求書発行や経費・受注に係るシステム改修や、導入などを行う必要が生じてきます。一方で、対応に係るコストについては、今回ご紹介する補助金を受けられると、その負担を軽減できます。

これまで課税事業者であり、すでに適格請求書発行事業者の登録が完了している事業者だけでなく、現在免税事業者であり、今後適格請求書発行事業者の登録を行う事業者にとっても有用な補助金が3種類あります。

今回のビジネスEYEでは、インボイス制度導入にかかわる3種類の補助金の概要を見ていきましょう。

インボイス制度にかかわる3つの補助金

1.IT導入補助金2022<デジタル化基盤導入類型枠>

中小企業や小規模事業者等が対象です。
「デジタル化基盤導入類型枠」という補助金枠内で、インボイス制度導入に向け必要なソフトウエア等の購入に充てるために最大350万円の補助を受けられます。
この補助金の交付申請についての最終枠の期限は2023年1月19日です。

参考:IT導入補助金2022HP

2.小規模事業者持続化補助金<インボイス枠>

持続的な経営に向けた経営計画等を行う小規模事業者を支援する補助金です。

この補助金には特別枠の一つに「インボイス枠」が設けられています。

インボイス枠の対象者は2021年9月1日から2023年9月30日の属する課税期間で一度でも免税事業者等であり、適格請求書発行事業者の登録がされた事業者が該当します。

つまり、免税事業者が適格請求書発行事業者の登録を行い、消費税の納税負担が発生してしまう場合に、その負担を経費補助の形で支援する制度です(インボイス枠の上限は100万円)。 免税事業者が適格請求書発行事業者の登録をするだけで最大100万円の補助金が受けられるため、利用しやすいのではないでしょうか。

状況に応じて、また、買い手の事業者が売り手に対して適格請求書発行事業者の登録を促す一助としていただくことも可能かと思いますのでご参考になれば幸いです。

こちらの今年度の補助金の最終受付締め切りは2023年2月中旬予定となっています。

参考:東京商工会議所HP

3.その他の補助金

上記2種類の補助金のほか、「ものづくり補助金(デジタル枠)」は小規模事業者が直面する課題のためのシステム等の設備投資を支援する補助金のため、インボイス導入に伴う設備投資も含まれますので検討の余地がありそうです。

補助金と税務上の取扱い

IT導入補助金などは法人税法上の「国庫補助金等」に該当します。
IT導入補助金を会計ソフトなどの取得に充てる場合には、国庫補助金等の圧縮記帳の損金算入の規定を受けることができるため、補助金収入部分の課税の繰り延べることができます。
また、圧縮記帳後の取得価額が30万未満であれば、その資産につき中小企業者等の少額減価償却資産の損金算入の特例の適用を受けることも可能となります。

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