経営メモ  SDGsと企業のかかわり その5(Vol.94)


前回に引き続き、実践編です。今回は実践の基本の流れの後半を説明していきます。

  1. 1.前提 全社的コンセンサスの形成と課題把握
  2. 2.検討 実践テーマの決定
  3. 3.推進 決定したテーマに沿ったToDoの実践
  4. 4.記録 自社評価及び自社アピール

今回は、取組の継続についてです。上記基本の取り組みを実践しうまく機能したとしても、社内外のESG問題がすぐに、すべて解決するわけではありませんし、これからもその取り組みが機能し続けるとも限りません。
持続可能な社会を実現していくためには、恒常的に取り組みを行っていくことが必要です。そこで、安定したSDGs実践のためのブラッシュアップについて触れていきます。

自社評価のその後

自社のSDGsを記録、評価していくと、取り組みに対する改善点や反省点、新たな課題などが見えてきます。うまくいっていても、そうではなくても、SDGsの自社への定着・継続のためには「さらにブラッシュアップした取り組みを!」という、以下のような視点で再検討してみましょう。

 1. 直線的発展の取り組み
 2. 類似・関連したテーマへの取り組み
 3. 得られた知恵・ノウハウを応用した新たなテーマへの取り組み

新たなSDGsの担い手の育成

企業のSDGsを実行していくスタッフは決して固定されたものではありません。初期段階で全社的コンセンサスをとっていたとしても、人が変わり立場が変わることで、その意識が薄れていってしまう可能性があります。
 新しいスタッフが入ったとき/スタッフが昇格したときには、役職や立場に応じて再度の研修機会やミーティングでの共有機会を設け、自社のSDGsについてのリテラシー教育を実施しましょう、これからのSDGsのリーダーを育てる姿勢をもって研修を行うのがよいですね。人材の育成は企業にとってとても大切なパートですので、手を抜かず行っていきましょう。

バリューとしてのSDGsの継承

現代の事業継承では、ESG問題への対応は、避けることができないものだと思います。企業理念や経営方針、技術的なことや財政的なことと同様に、ひとつの価値観(=バリュー)として継承していくことが、企業が生き残っていくためには必要であると考えます。
 そして後継者への価値観の継承には、十分な準備期間が必要です。ポイントとして以下の2点を挙げたいと思います。SDGsの取り組みはサプライチェーン全体の責任であるため、積極的に対外パートナーと協働してもらうことが必要です。

 1. 現場で直接SDGsの取り組みに従事させ、実体験をさせること
 2. 社外のパートナーたちと積極的に交流を図り、パートナーシップを強化しておくこと

 今回は、SDGsの取り組みの定着・継続について解説しました。次回は実践編の第4弾として、実践のためのリスクヘッジを取り上げたいと思います。引き続き、お付き合いください。

※今回の経営メモは「会計士 中村亨の『経営の羅針盤』」第25回の内容を抜粋したものです。
全文をサイトにてご覧いただけます。

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