【経営メモ】

「スペシャルインタビュー/M&Aサミット2017 -Season2-ハイライト」

『孫正義と松下幸之助に学んだ後継者の条件』
ソフトバンク株式会社 前社長室長・多摩大学客員教授 嶋 聡 氏

 

【中村】
孫社長は、ニケシュ・アローラ氏を最も有力な後継者と発表しましたが、撤回することになりました。カリスマ経営者の後継者は、非常に舵取りが難しいと思われます。
ソフトバンクの場合、どのように推移したのでしょうか?

【嶋氏】
ローマ時代、カリスマ的存在であった政治家、軍人のユリウス・カエサル。彼の後継者はアウグストゥスですが、非常に堅実で哲学者のような志向の持ち主であったそうです。そこで側近には、軍略に長けたアグリッパを腹心としていました。タイプの異なる人材を登用することで、補い合うことも必要かもしれません。

日本における後継者選びの成功例としては、米沢藩再生のきっかけを作った上杉鷹山でしょう。鷹山は、自分の給料はできる限り低く据え置き、さらに公私混同しないように、私的なことを慎んだそうです。日本人は、そうした清廉潔白な人物を「偉い人」と認識し、従う傾向がります。

ニケシュ氏の場合は、年俸165億円と高額(うち100億円は契約金)であり、日本人のお手本である鷹山のケースとは真逆です。また、ニケシュ氏が以前から投資していたインドのEC大手スナップディール社をソフトバンクに買わせたことが問題視されています。もちろん、ニケシュ氏がソフトバンクに入る際に、保有株銘柄を伝えていますので法的には抵触しません。しかし、そうした経緯も含め、後継者候補から外れたのだと思います。

【中村】
孫社長は、M&Aによって巨大グループをつくりあげました。また、松下幸之助氏もあまり知られてはいませんが、M&Aの先駆け的存在と考えております。M&Aを実行しますと、当然ながら、買収先の従業員も管理する必要があります。人材の活用が極めて重要になりますが、どのように対応されたのでしょうか?

【嶋氏】
松下幸之助氏の場合は、頼まれて企業買収するケースが多いようです。基本的にM&Aについては、事業計画と業務監査をしっかり実施することです。人材活用の面では、徹底して公平な人事を行いました。

孫社長の場合は、自社の営業力(営業、財務、研究開発等)が、先方企業と統合されることで、シナジー効果を発揮できるかを徹底して調べます。さらにそれを極めて短い期間で遂行させていました。ボーダフォンの際は、3月24日に契約が成立し、5月のゴールデンウィークには、ソフトバンクの汐留オフィスに移転を済ませています。スピード感をもって統合することで「変化する」ことを印象付ける狙いがありました。

米スプリント社を買収したときは、米カンザスシティ本社に赴き、従業員に「300年続く企業を一緒に創ろう!」と呼びかけました。建国して240年余りですから、「300年」というのは建国よりも長くなります。大きなテーマを掲げ、魅力的に心をつかむことを孫社長は心がけています。

 

 

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