日本人の仕事への熱意は世界で最下位クラス
下記は、米調査会社のギャラップが仕事への熱意「エンゲージメント」を調べるために実施しているアンケートの一部です。「はい」が多い人や職場ほどモチベーションが高く、主体的に仕事に取り組んでいるそうです。
次の質問に「はい」「いいえ」で答えてほしい
- ●私は仕事をする上で、自分の最も得意なことを行う機会が毎日ある。
- ●職場で自分の意見が考慮されていると感じる。
- ●最近1週間で自分の仕事が褒められたり、認められたりしたことがある。
- ●職場に親友がいる。
- ●過去1年間の間に仕事を通じて学び、成長する機会を持った。
結果をみると、日本人の仕事に対する熱意はほぼすべての調査で最下位クラス。「仕事に主体的に取り組む人」は全体の6%にとどまり、世界139カ国のなかで132位でした。
この調査結果は企業経営にとっても重大な警鐘といえるでしょう。
転職観の違いから、米国は社員の意識調査に熱心です。不満を放置すればが、優秀な人材を手放すことになり、結果として大きな損失につながるからです。一方、日本は終身雇用の名残から離職率は高くありません。
そのため、経営者は社員の心のありように鈍感になりがちです。しかし、離職しないことと熱意を持って仕事をすることは別の話です。受動的なまじめさはあれど、自ら積極的に仕事に向き合う姿勢に欠ける日本人。それが労働生産性の低さやイノベーション不足に帰結しているのではないでしょうか。
処方箋として注目されるのは、直属の上司との関係
社員の意欲を最も左右するため、部下とよく話し、彼らの「弱み」ではなく、「強み」に着目する上司がいれば、職場の意欲は上がる可能性が高いでしょう。
参考:『日本経済新聞』(1月29日)「経営の視点 企業を蝕む熱意なき職場」
問題の背景としては、職場における世代間のギャップも一因でしょう。
価値観の多様化や情報環境の変化、また、残業時間抑制という流らもあり、若い世代と上の世代においてコミュニケーションをとることが難しくなってきています。以前は、いわゆる「アフター5」で職場の上司と部下で飲みに行く機会もしばしばあったと思われますが、今ではめっきり減っているようです。
経営者としても、人材配置の最適化と適材適所を熟考して社員全員がイキイキと働ける文化をつくり、それに磨きをかけていくことが責務ではないでしょうか。
働き方改革と同時に、そうした上司と部下の関係といった、身近な問題に無関心ではいられない時代ですね。