【経営メモ】

企業が成長を目指すのは当然ですが、それが単なる拡大や膨張であってはなりません。経営者は時折「規模のメリット」を旗印に拡大路線を走ろうとします。「規模」を大きくすれば「有利」になる、つまり「優位」に立てると考えがちになります。
自動車、スマートフォン、コンビニ、アパレルなど、我々が目にする日常では大部分が規模のメリットを享受している企業であり、「規模」に勝る企業が強さを発揮しています。
しかし、「規模」が全てなのでしょうか? もしそうだとしたら、頻繁に起こる大企業の品質に絡む不祥事はなぜ生じるのでしょう。
「不正は現場の判断で行ったもの」と片付けてよいのでしょうか?

そんなとき経済誌のある記事が目に飛び込んできました。以下、神戸大学大学院教授の三品和広氏が執筆した寄稿を抜粋します。
(参考:『週刊東洋経済』経済を見る眼/2017年12月2日号)


1)「優位」が「規模」を支えるという理解こそが正当である

原因と結果を取り違えて「規模」が「優位」を生むと思い込むのは、大きな誤りです。経営者がこの考え方をしてしまうと、「優位」を手に入れるために「規模」を追う施策に走りだし、悲劇を引き起こしてします。
例えば、三菱マテリアルや神戸製鋼所。日本を代表する企業のデータ改ざんが次々に明るみになっています。
「現場力の低下」と説明されますが、「規模」を追うあまり勝ち目のない事業を温存した経営陣の判断こそ問われるべきでしょう。
解きようのない難題を押し付けられて、うそをついた現場を責めるのは筋違いです。


2)「優位」を生まない「規模」の追求は必ず徒労に終わる

「優位」を生まない「規模」の追求は、社員の生産性や企業業績を犠牲にしてしまいます。電通社員の痛ましい過労自殺や、ヤマト運輸の未払い残業問題は、その典型例です。働き方の問題と捉えられていますが、必ずしもそうではなく、経営陣による筋の悪い戦略こそ見直してしかるべきでしょう。


3)「優位」の支えがない「規模」は凶器に転じることもある

「規模」が凶器に転じた典型例が、シャープです。エコポイントの導入もあり液晶テレビが爆発的に売れていた2009年に、堺工場を新設して「規模」の拡大を図りました。しかし、その「規模」の拡大が引き金となり、財務体質を悪化させてしまい、結果的に鴻海精密工業の傘下となりました。今は我が世の春を謳歌している企業も、いずれ「優位」を失い、「規模」を持て余す時が来るでしょう。


4)経営戦略の使命は、「規模」によらない「優位」の構築と「優位」に見合った適正規模の実現

「優位」に見合った適正規模の実現ができないと、経営者の責任であっても、その代償は社員、顧客、株主が払うようになってしまいます。目が届きにくい子会社も含めて、顧みる必要があるようです。

いかがでしょうか?筆者なりにまとめると、企業経営においては「規模のメリット」が生じる場面は多々あるが万能ではなく、
強さの源泉には成り得ない、むしろ規模を支える優位性の確保こそが企業の強さの源泉になる、ということでしょうか。