「『日本の生存戦略』-衰退か再興か-」こんな衝撃的なテーマがビジネス紙の特集で取り上げられました(東洋経済2019年1月19日号)
最近、かなり有名になってきたイギリス人の金融アナリストでもあり、また経営者でもある、デービット・アトキンソ(ちなみに日本在住歴30年)のインタビューをもとに編集された特集です。内容もかなり衝撃的ですが、筆者なりにサマリーを作ってみました。
1.日本が経済大国であるのは、人口大国であるからである
GDP=生産性(一人当たりGDP)× 人口である。 日本は人口大国であるが、生産性が低い。
→ 筆者調べによれば、2017年度におけるドルベースの名目GDPは世界3位、人口は世界10位、生産性は世界25位
2.つまり、少子高齢化で人口減少すれば、生産性を上げない限り、日本経済は縮小する
→ 先日、2040年の就業者数は2017年から20%減少し5245万人に減少するという推測が報道されました(日本経済新聞 2019年1月19日)
3.日本人の抱いている「日本は技術大国である」というのは妄想である
ごく一部の企業はそういえるが、「平均」すればそう言い切れる事実は発見できない。米国の成長は「イノベーション(技術革新)」によるところもあるが、「人口増加」要因も大きい。
4.日本は、中小企業数が多すぎる
賃金を上げられない中小企業が多く、全体の生産性を下げている。
賃金をあげられない中小企業・業種が「人手不足」を主張している。
日本人はアットホームな中小企業がそもそも大好きである。
5.「生産性向上」=「コスト削減による効率化」ではない
本来、付加価値を高めることで生産性を上げなければならないが、日本人はこれが苦手であり、発想の豊かさにかけておりクリエーティブでないといえる。
処方箋は3つ
①国が主導して、最低賃金を大幅に引き上げる
最低賃金が上がると利益が圧迫されるため、企業は生産性を高める努力をせざるを得ない
②企業合併を進める
企業規模と生産性には強い相関があるし、合併を勧めれば過当競争が緩和され事業の安定性が増し、生産性を追求しやすくなる。
③安売りをしない
価格を下げればマイナス分を上回る需要が生まれ売り上げや利益が得られるというのは人口増加時代のセオリーであり人口減少時代に求められるのは値段が高くても買ってくれる消費者に照準を合わせたビジネスである。
マクロ的に見れば、「ごもっとも」と頷けるのですが、いざ、経営者自身(筆者含めた)が「安売りしない」「付加価値をあげる発想を持つ」を実践するとなるとこれはかなりの覚悟と戦略が必要になりますね。
2019年も経営者にとっては大変な一年になりそうです。