経営メモ「ドン・キホーテの経営にみる組織づくり」(Vol.69)


今、筆者が組織を考える上で最も参考にしている企業が、小売りディスカウントストアの「ドン・キホーテ(パン・パシフィック・インターナショナルHD)」です。以下、ドン・キホーテの経営のやり方をざっとまとめてみました。(週刊東洋経済3月30日号「次代の流通王か、永遠の異端児か」より)

スーパー最大手のイオン・岡田元也社長も3年ほど前「今の時代はドンキの経営を参考にしなければならない」と語っていたようです。

 

ドンキ「非常識経営」

1)チェーンストアとは正反対のシステム

本部主導ではなく、個店に大幅に裁量を与える。

2)仕入れも販売価格も店舗が決める

品ぞろえや陳列の仕方など運営方法が店舗ごとに違う。

3)ジャングルのような非効率的な売り場づくり

商品をぎっしりと詰め込む「圧縮陳列」を採用。

4)4割が“訳あり”商品

廃番品やメーカーの余剰在庫を徹底的に安く仕入れる。

5)労働組合なし

成果主義を採用していることもあり、組合を置かない。

6)深夜営業

夜10時以降のナイトマーケットを開拓した。

7)日本チェーンストア協会に所属せず

「長いものに巻かれない」方針を貫く。

8)居抜き出店が7割

GMS(総合スーパー)や家電量販店などの跡地を活用し出店コストを抑制。

9)年俸制ならぬ「半俸制」

社員の給与は半年ごとに見直され、売り場の業績が直結する。

10)自社店舗もライバル

社員同士で競わせ「教育」ならぬ「競育」を重視。

 

その他の特徴を抜粋すると

□ 町おこし

昔はヤンキーのたまり場だったが、07年の長崎屋買収あたりからその集客力を認められて地域との折り合いもしっかりつけ始めた

□ 定番商品6:訳あり品4

店内陳列の黄金比率を維持し、自由な仕入れを最終的にはしっかりとコントロール

□ 女性客7割

生鮮食品や日用雑貨を取り扱うなど、トレンドをつかんでいるといえる

□ 不動産でしっかり稼ぐ

営業利益の約33%である172億円がテナント賃貸事業=したたかな一面

□ 宝探し

手書きPOPや迷路のようなレイアウトで店内滞留時間を増やし、衝動買いを増やす作戦

□ 辞める社員は多くても・・・

企業の個性が明確であり、社員の定着率よりも重要であると一蹴

 

また、創業者の安田隆夫氏は「ドンキは私の生きざまそのもの」と定義づけ、JFKのような強烈なメッセージを残しています。

「何もないやつには、ないやつの戦い方がある」

安田氏は学生時代を振り返って「田舎のイモ兄ちゃん丸出しで、何のコネも取り柄もない貧乏学生」だったと語り、「ビッグな経営者になって、いつか見返してやろう」と誓ったと言う。

「要は逆張り」

「金儲けは悪」という価値観が色濃い日本において、安田氏の金銭欲と名誉欲を直視する世の中と正反対のスタンスが、顧客のニーズを引き出して急成長を支えてきたともいえる。

「ノーガードでは必ずいつか一発を食らってダウンする」

冴えない事業は即撤退して「守り」にも長ける。

「ドンキの文化は敗者復活」

重戦車のごとく突き進む剛腕と呼ばれる反面、一度失敗や降格をしても、社員が立ち直るのを待つことも。

 

快進撃を続けるドン・キホーテの「組織づくり」、経営者としての心意気を参考にせざるを得ないでしょう。

 

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