経営メモ 「ポーター教授の珠玉の言葉」(Vol.76)


経営メモ

ポーター教授の珠玉の言葉

 

公認会計士の試験には「経営学」という試験科目があるのですが、受験勉強をしていた頃は経営戦略論の研究で第一人者である米ハーバード大学マイケル・ポーター教授の著書『競争優位の戦略』が基本書のひとつになっていました。

マイケル・ポーター教授は、開発・製造から販売、流通までの機能を鎖のように結び付けて付加価値を生む「バリューチェーン(価値連鎖)」の考え方を提唱し競争戦略論を展開したのですが、その教授の対談記事(日経ビジネス)が掲載されていましたので教授の珠玉の言葉をピックアップしてみました。

日常業務に忙殺される社長さん、経営幹部にとっては少し耳の痛い部分もあるかもしれません。

CEOの時間の使い方で注意すべき4つのポイント

直接の報告者の人選に注意

仕事に優先順位をつけ、重要業務に集中するための補佐役に

「CEOの時間管理ではダイレクトリポート、つまりCEOに直接報告する人物が果たす役割が重要。ダイレクトリポートを仕事のできない人物が担うと、本来なら必要のない仕事までCEOが手掛けることとなる」。

リポートラインが成否のカギと明言する教授は、報告者として選んでおくべき有能な人物は「CEOを助けるためではなく、CEOが目指す場所に実際に連れていくため」に存在しているといいます。

向こう3~4か月、何をすべきかを明確に

その時期に自らが取り組むべき課題を設定することで部下の目標も明確に

「CEO自身に明確なアジェンダがあるからこそ、部下のアジェンダも明確になる。逆にCEOのアジェンダが不明確ならば、周りにいる部下も何がアジェンダなのかが分からなくなる。その結果、CEOに様々な要求をし、その分、CEOの時間がムダになる」

リーダーシップ論でよく指摘されるアジェンダ(課題)の設定は、具体的なものにするべきだと指摘しています。

電子メールには直接関わる必要がない

どんな内容なら目を通し、返信するかについての規範を考えるべき

「CEOが関わる電子メールについて調査をすればするほど、本来の仕事とは言えず、短くて内容も重要でないものが大半だということが分かった」「CEOはメールの大多数に関わる必要がないことを認識すべきだ」。

メールは時間泥棒、とまで明言した教授は、対面コミュニケーションこそが影響力を行使し、現場で何が起こっているのかを把握するうえで最も効果的だといいます。

会議の時間は短縮できる

入念な準備と明確な課題の設定が時間の短縮につながる

「直接会うことは人間関係や企業文化を深めるため、会議は重要であるが、問題はその時間の長さ。皆が準備して挑み、議題をきちんと設定することで1時間の会議も30分態度短くできる」。

メールに比べて、実際に顔を突き合わせる会議は重要ですが、反面、会議の時間短縮はCEOが自由に使える時間を増やすうえで大切なテーマであると述べています。

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CEOの時間の使い方のポイント4つ紹介しましたが、最後にオマケとしてもう一つご紹介しておきます。

それは、「経営戦略を社員に徹底すること」です。社員が戦略を理解していないと進む方向がバラバラになり、その修正のためにCEOの時間が多く費やされます。

戦略の立案だけではなく、社員に浸透させることもCEOの時間管理に深い関わりがあります。

ご紹介したそれぞれのポイントについて、釈迦に説法のものもあったかもしれませんがいかがでしょうか。
私も向こう3~4か月の間に実行すべきことのアジェンダ化を実行していますが、新型コロナウイルスの今後の収束が見えない現在では、一度作ったアジェンダの上書き修正に追われています。(リスクへの対策、というアジェンダは真っ先に追加しましたが…)

 
 

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