「プラットフォーム」という言葉が普及してから10年くらい経つでしょうか。
これからの時代、企業は「プラットフォーム」的な存在にならないと生き残れないのではないか、という話を本日はしたいと思います。
元来コンピューター用語であったこの言葉は、現在では、かなり比喩的表現として使われています。例えば、楽天のようなECサイトに始まり、ショッピングモール、都市、国家、企業などもある意味プラットフォームだと言えます。
このプラットフォームの価値は何で決まるか?というと、それは「数」で決まるのではないかと思います。
プラットフォームには「富が集中」する
楽天でいえば、「顧客数」の増加が、参加者(出店者)からみた魅力に比例するということです。
プラットフォームの特徴は「富が集中する」という減少が起きることであり、この場合にはプラットフォームの運営者である楽天に富が集中します。
同社は、顧客をより付加価値の高い補完サービス(銀行、証券)に誘導することで利益を上げています。2016年3月期決算によると、営業利益の実に40%がこの金融系の事業によるものだと読み取れます。
プラットフォームの価値を上げるために何を優先するか
次にコンビニの例です。
コンビニは、「顧客数×客単価」で売上が決まります。さらに売上を伸ばそうと思うと通常は客単価を上げようとします。しかし、プラットフォームの価値を上げるためには顧客数を増やすことを優先するべきであるということになります。
そして、増えた顧客に値上げをするのではなく、付加価値の高い価格帯の商品を提供することで売上を増加させるというのが正しい方法論ではないかと考えます。
逆に言えば、客数が減ってしまう、単純なコスト転嫁型の値上げをしてはいけないということになります。
「顧客(数)が先、そしてサービス、最後に利益」
「サービスが先、利益が後」
これはヤマト運輸創業者の小倉昌明さんが著書『経営学』(日経BP社、1999年10月)で書かれているキャッチフレーズです。企業は、サービスを磨き込むことを優先に考えるべきであり、利益を欲するあまり、投資によって損益が悪化することを恐れてサービスの磨き込みを怠ってはいけない、という意味であると私は解釈しています。
この「サービスが先、利益が後」という言葉はまさに経営に携わる者にとっては大切な言葉です。今回は敢えて、この言葉を改造して言い換えてみます。
プラットフォームの時代は、「顧客(数)が先、そしてサービス、最後に利益」であり、顧客を集めることが大切である、というのが今回の私の持論になります。
マーケットサイドだけではなく、人材面でも同じだと思います。「あの会社に行けば学べる」「稼げる」と応募者が思えば、どんどん人は集まるでしょう。しばらくは人手不足が続くでしょうから、経営者はあらゆる局面において「プラットフォーム思考」が求められる時代になります。