経営メモ「シナジー効果(1)経営学の中で経済的になる4つのパターン」(Vol.44)


「日産とルノーの提携効果、年間4,900億円に」

日産とルノーの提携からはや15年以上経ちますが、2015年度は過去最大のシナジー効果が出たと発表がありました(日本経済新聞2016年7月6日)。

物凄い金額ですので「本当だろうか?」と思いました。今月号と来月号では、「シナジー効果」を皆さんと一緒に考えたいと思います。

まず今月号では、前段として、経済学の中で「経済的になるパターン(要するに利益をもたらすパターン)」を考えてみます。主なパターンは以下の4つになります。

1.規模の経済

もっとも分かりやすいものです。生産量が増えるにつれて、単位あたりのコストが低下することをいいます。あえて説明は不要だと思いますが、事業規模に比例しないコスト(固定費)の存在がカギになります。

2.範囲の経済

規模の経済が事業規模によるものに対して、範囲の経済は、事業の種類によります。

いくつかの事業がある場合、それらを異なる企業が手がけるよりも同一企業で手がけた方が、コストが減少すること、価値が創出されること、と定義されます。

そしてこの効果は多角化の合理的な理由になります。範囲の経済=シナジー効果、だと考えていいでしょう。

範囲の経済が生じる理由は、「共通の資源」の存在になります。
例えば、野球のスタジアムではコンサートも行なわれます。もし、それぞれ専用の設備が必要であれば、それぞれのコストは高くなる、といった具合になります。

3.密度の経済

密度の経済とは、密集しているときに生じる効率化効果です。

高度成長期のモデルである「規模の経済」、幻想で終わることの多い「範囲の経済」に対して、密度の経済はより確実な効果が期待できます。

顧客が様々なエリアに散らばっているよりも特定エリアに密集していた方が、コスト削減されます。営業拠点、物流コスト、移動コスト当、企業側のコストが大きく削減できます

ドミナント戦略、つまりコンビニの出店戦略の要諦の一つが「密度の経済」になります。

4.ネットワークの経済

商品・サービスの利用者が増えるほど利用価値が高まることを「ネットワーク経済」といいます。

フェイスブックやLINEなどのSNSがあてはまります。商品・サービスそのものではなく、利用者の存在自体が価値を生み出す、すなわち使用者数の多さが競争優位性に直結する、ということです。

 

さて、次回は「本当にシナジー効果が出るのだろうか?」という視点から論じてみたいと思います。

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