経営メモ「自分たちの強みをしっかり認識することの重要性」(Vol.32)


今回は、企業が「自分たちの強み」をしっかり認識しておくことの重要性についてお話しします。

スターバックス、と聞くとどんなイメージを皆さんお持ちでしょうか?

「心からくつろげる第3の場所を提供する」
というのが創業者ハワード・シュルツ氏の起業時の理念でした。

 

そんなスターバックスに業績悪化という形で危機が訪れたのが2007年。当時、すでのCEOを退任していたハワード・シュルツ氏が2008年に復帰し、業績不振の原因を発見していきます。

不振の原因は「自分たちの強み」を忘れてしまったことにありました。それが分かるエピソードを2つご紹介します。

1)ロマンチックで劇場的な要素

1)当時の店舗では、大型の自動エスプレッソマシンを導入し、顧客の待ち時間を削減していました。つまり、エスプレッソ1杯が出来上がる時間を大幅に短縮することで「効率化」したわけです。

しかし、背の高いこの機械を入れたため、エスプレッソを入れる店員の姿が顧客から見えなくなりました。ハワード・シュルツ氏は「サービスの迅速性といった大きな問題は解決されたが、ロマンティックで劇場的な要素を失っていた」と語っています。

2)スターバックス体験

既存店の売上を伸ばすために、ブレックファースト・サンドイッチを加えました。これは「朝食用に暖かい食べ物がほしい」という利用客の要望に応えるためでした。

しかしその結果、コーヒーのカオリがサンドイッチのチーズが焦げる匂いで打ち消されてしまい、店内に足を踏み入れた時にコーヒーの豊かな香りに包み込まれる「スターバックス体験」の提供が困難になり、従来のスタバファンの足が遠のいてしまったようです。

ビジネスの強みはなにか?

つまり、効率化や利益追求に走った場合、たとえそれが目の前の顧客のニーズにしっかり応えている施策であっても、「自分たちの強み」を失ってしまっては元も子もない、ということです。

皆さんの会社の「本当の強み」を再認識してみることは無駄ではないと思います。(参考:「1日30分 達人と読むビジネス名著」日本経済新聞社)

 

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