経営メモ「仕事か?人か?」( Vol.30)


給与は何に対して払われるのか?

給与は何に対して払われるのか?
この古くて新しい問題に、今一度向き合いたいと思います。

日本の雇用は「メンバーシップ型」と呼ばれ、人に対して給与が支払われるシステムです。
いわゆる三種の神器(年功序列、終身雇用、労働組合)に代表される労使慣行が発展したもので、職務・労働時間・勤務地などが原則無限定であるほか、定期昇給が存在します。また、採用にも特徴があり、白紙状態の新卒を一括採用し、「ゼネラリスト」の育成を目指す傾向があります。

一方、海外では「ジョブ型」と呼ばれる、「仕事(職務)」に対して給与が支払われるシステムがとられています。
こちらは、職務・労働時間・勤務地などが限定されるほか、採用面では「欠員補充」の意味合いが強くなります。つまりポストが空かない限り採用が見送られるケースが多くなります。(もちろん、将来の幹部候補のためのエリート教育は別のラインで進めます)。また、職務を基に契約するため、同じ職務に従事する限り(若干の昇給はありますが)、定期昇給という概念自体がありません。

日本と欧米の雇用のシステムの違い

メンバーシップ型において重視されるのは、コミュニケーション能力や組織対応力といった抽象的なものになります。また、職務範囲が曖昧なため、近年では長時間労働の要因の一つとなっているとの指摘もあります。

一方、ジョブ型において重視されるのは、「スペシャリスト」か否かになります。これは職務内容がすべてのベースとなるため、明確に求められる要件となります。

これからは、日本流の「ジョブ型」が求められる?

バブル崩壊後、多くの日本企業はこのままではいかないと、いわゆる成果主義を採用しましたが、成功例は少なかったと言われています。その原因の一つに「メンバーシップ型」と「ジョブ型」を混同したこともあるのではないか?と考えられます。

これまでの「メンバーシップ型」では限界があり、どうやって職務重視に切り替えていくか?あるいは日本の「メンバーシップ型」の良さを残しつつ、いかにして「ジョブ型」を取り入れていくか?

今後、特にサービス業では、これを突破した企業が勝ち組になるかもしれません。

 

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