コロナ禍にありながら、幸いにも今年は3名の新卒入社を迎えることができました。
私は全社ミーティングやフォローアップ研修など、従業員に対して話をする機会が多いのですが、なかでもこの新入社員に対する祝辞は殊の外緊張します。
社会人になりたての若い人材に対してナカムラは何を語ったか。今回の経営メモでご紹介します。
学生と社会人との違いは「自分を否定される機会が多いこと」
皆さん、おめでとうございます。
今、皆さんは希望に胸を膨らませて、社会人としての一歩を踏み出したことと思います。「学生である自分と決別し、いよいよ社会人になったのだ」、ということで気を引き締めていると思いますが、学生と社会人の違いは何でしょうか?
それは、【自分や自分のやったことを否定され、傷ついたり、落ち込んだりする機会が多い】ということだと私は考えます。
学業が本業である学生は、その学業で成果を上げれば褒められますし、例えばアルバイトやサークル活動などで成果を上げれば、本業以外でよくやったと評価されたことでしょう。しかし、これからは、「いつもいつも」褒められることばかりとは限りません。むしろ自分の考えや行動を、或いは時に自分自身すら否定されることが多くなるのではないかと思います。
社会人一歩手前の筆者。大学卒業式。
否定や失敗が成長の糧に
自分の新人時代を思い起こしてみても、頑張れば頑張るほど、自分の考えをもって一生懸命仕事をすればするほど、叱られたり、否定されたという記憶があります。壁にぶつかり、なぜうまくいかないのかと悩んだりしました。一体なぜ否定されているのか理由が分からないということも多くありました。
しかし、今ではそれで「良かった」し、それが糧になったからこそ成長したのだ、と思っています。
自己を否定されることでその原因をよく考えたり、仕事のやり方を工夫したり、自分自身の考え方、考える癖のようなものを改めたりもできました。つまり、否定されたり失敗したりすることのすべてが、成長の元になったのだと考えます。
全ては運命であり、責任であり、選択の結果
今の皆さんには、「先輩の指導を聞いて頑張ろう」という謙虚な姿勢が十分にあると思います。
これからの社会人生活では、どんな時でも、今持っているその謙虚な気持ちを忘れず前向きに仕事し、どんな小さな仕事もひたむきに取り組んでください。自分の身の回りに起こることは全てが運命であり、自分の責任であり、自分の選択の結果なのだと思って環境を受け入れて欲しいと思います。
そうずれば社会人としてしっかり成長することができるでしょうし、叱ったり、注意したり、否定したりする会社の先輩や上司、時にはクライアントの方々、そして目には見えない世間全体というものに感謝できる日が必ず来るはずです。
「実力の世界」では自分を定義付ける物差しが変化
さて、皆さん一人ひとりを「社会的に個別に位置付けるもの」は、これまでは何だったでしょうか?どこの大学を出たとか、どこの出身だとか、そのように自分を定義してきた物差しは、徐々に変化していきます。
社会に入ったこれからは「実力の世界」に変わっていきます。
仕事や会社という枠の中では、仕事を通してお客様や会社、世の中に貢献するという「他者の役に立つ」ということが唯一と言っても良い評価軸であり、それが社会人である自分を定義付けるものになります。
ですので、いったんこれまでのフレームワークや価値観は捨てて、まっさらな気持ちで社会に会社に飛び込んで大いに張り切って欲しいと思います。
「正解が一つとは限らない」令和時代の新社会人へ
高度経済成長時代は昭和の時代とともに、今から30年以上前に終わり、終身雇用も大きく崩れました。
皆さんはきっと努力すれば「正解(ただしいこたえ)」にたどり着くはずだ、と思って頑張ってくれるでしょう。確かにそうです、頑張れば道は開ける。その通りです。
但し、今の時代は、「正解が一つとは限らない時代」です。
複数の正解があるわけですから「物事を進めるプロセス」もたくさんあるということになります。
この時代の中では「自ら考え、自ら判断し、自ら行動する」ことが重要になってきます。それらを行うことで「自分」を見失うことなく、生きる意義や働く楽しみを感じることができます。どうか、指示を待つだけの「指示待ち族」にはならないように、常日頃から考えて行動して仕事をして欲しいと思います。
苦しい時、悩んだときは、ぜひ、先輩に相談してください。すぐに回答やヒントをくれる先輩や上司ばかりではないかもしれませんが、皆さんが、前向きに仕事に取り組む姿勢があれば、きっと励ましてくれたり、ヒントをくれる人が周りに現れるはずです。
そして今後は、仕事や業務を学ぶだけではなく、この不安定・不確定な時代を生き抜いていく胆力を練るための「旅」に出て、自分なりの正解にたどり着いて欲しいと思っています。
入社、本当におめでとうございます。