皆さんはSDGsについてどのくらいご存じでしょうか。
「何それ?」「いまさらか?」「言葉だけは知っている」「似た用語がたくさんあって意味の違いがよくわからない」など皆さんの反応は様々でしょうが、「全然、聞いたこともない」という方は比較的少ないのではないかと思います。
特にビジネスとのかかわりの部分について、ナカムラが気になっている疑問を中心に、今回から何度かに分けて解説したいと思います。
中小企業にも取り組むメリットが多大にある!
SDGsに関連する活動や取り組みについて中小企業で働く方々の中には、デメリットが多い、メリットを見いだせないと思う経営者の方が多いと想定されます。
しかし取り組めば、「今すぐにメリットがある」というものではなく、「しっかりと取り組めば3年後、5年後に成果が出る」というタイムラインであると筆者は考えています。理由は主に3つの視点に集約できると思います。
①【人的要素】
SDGsへの積極的な取り組みが、企業側からすると人材の確保に有効、大前提となる時代が来る
②【ビジネス的要素】
「取り組み姿勢」自体が、企業がより広く消費者、市場に認知され、マーケットの拡大につながる
③【コスト的要素】
SDGsに取り組む企業は資金調達もしやすくなっていく、少し拡大して解釈すると、SDGsに取り組む企業は、企業活動がある意味でしやすくなる
繰り返しにはなりますが、もちろん、今すぐにはメリットはないかもしれません。
今日明日の業績や資金繰りに頭を悩ませている中小企業では、本音では「そんな暇はない」ということになってしまいますが、それでもほんの少し時間を割いてこの活動への取り組みを真剣に考え、行動することが3年先、5年先にライバルに差をつけるための手段の一つでもあるといえるでしょうし、企業継続のための不可欠な要素になる時代が来る、と考えるべきでしょう!
では、具体的にSDGsとはいったい何なのか?
SDGsとは、 「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称です。
「持続可能な」世界を作るため、17の目標と169のターゲットというものが設定されています。
- 1.貧困をなくそう
- 2.飢餓をゼロに
- 3.すべての人に健康と福祉を
- 4.質の高い教育をみんなに
- 5.ジェンダー平等を実現しよう
- 6.安全な水とトイレを世界中に
- 7.エネルギーをみんなに そしてクリーンに
- 8.働きがいも経済成長も
- 9.産業と技術革新の基礎をつくろう
- 10.人や国の不平等をなくそう
- 11.住み続けられるまちづくりを
- 12.つくる責任 つかう責任
- 13.気候変動に具体的な対策を
- 14.海の豊かさを守ろう
- 15.陸の豊かさも守ろう
- 16.平和と公正をすべての人に
- 17.パートナーシップで目標を達成しよう
以上が17の目標です。
似た言葉との違い/「CSR」や「ESG」との違い?
ここで注意ですが、似たような横文字の言葉に、「CSR」や「ESG」があります。
CSRとは「Corporate Social Responsibility」の略であり、「企業活動における社会的責任」を表しています。
企業は社員や消費者へ配慮するだけでなく、社会全体に対する影響を考慮しながら意思決定を下さなければなりません。
日本でCSRが注目されるようになったのは、企業の不祥事が相次いだことがきっかけです(一時期、食品の賞味期限や成分などについての偽装といった問題が頻発しました)。
個別企業の社会的責任、というコンセプトを明確化する意味合いが強いですね。
企業が社会的責任を意識して行動することは当然にSDGsの目標達成につながる、ということです。
ESGとは、「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」を表しています。
企業が成長していくためには、ESGの3つの観点が必要不可欠であるという考え方で、ESGの観点から投資先を選定するESG投資も注目を集めており、ESGは投資家にとっても重要な指標の一つです。
ESGは企業が経営を進めるうえで重視される要素であるのに対し、SDGsは国や企業などが持続可能な世界を実現するための目標です。昨今は企業がESGに配慮しながら活動を進めれば、結果としてSDGsで定められている目標達成を実現できると考えられています。
そのため、企業がESGやSDGsに取り組む際は、両方をセットにして取り組む場合がほとんどです。
(大企業においては、ESGとSDGsのマトリクスを作成し、ホームページ上で公開している会社もありますね。)
ビジネスとの関わり
現在、世界にはさまざまな変化が起きています。その変化によって、従来どおりのビジネスの形が通用しなくなってきています。例としてわかりやすいのは、自然災害の多発化、というのがあります。
大規模な自然災害の発生などにより、インフラや生活基盤が重大な損害を被り、付随してビジネスの基盤もまた、大きなダメージを被ることがあります。
企業はこの現状に対し、ビジネス継続のため対策をとっていかねばなりません。同時にその原因に対しても、企業の社会的責任があります。
自然災害の多くは地球温暖化に伴う気候変動の結果とされていますが、企業活動は多くの燃料を消費するため、この地球温暖化に拍車をかけてしまいます。
ここに企業としての社会全体に対する責任がありますし、同時に自社の生き残り自体に関わる課題ということでもあります。
この課題を乗り越えるのに、SDGsへの取り組みを当てはめることができます。
SDGsの目標の一つに「気候変動に具体的な対策を」というものがあります。持続可能な世界を実現するために、この目標の視点をもって、今までの考えや行動を改め、新たな視点でのコスト導入や事業を行っていくことを考えましょう。
自分の会社が「持続可能」になることが、世界の「持続可能」にもつながります。今や企業と社会、企業と世界は一蓮托生の関係です。
SDGsはビジネスのヒントになる!
上の例が示唆していますが、SDGsは今までにはなかった価値観や視点を与えてくれるため、既存のビジネスの進化、変革、あるいは新規ビジネスの開拓に、大きな役割を果たしてくれると言えます。
具体的にどのような準備が必要か?どのような取り組みや活動を実践していけばよいのか?などはまた次回以降、お話ししていきたいと思います。
※今回の経営メモは「会計士 中村亨の『経営の羅針盤』」第23回の内容を抜粋したものです。
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