経営メモ SDGsと企業のかかわり・その2(Vol.90)


さて、前回に引き続きSDGsについてお話していこうと思います。
前回は、SDGsの基本とビジネスの関わりについて、その導入部分に触れました。
今回はもう少し掘り下げて、個々の企業がSDGsを実践するにあたり、どういう体制を整えればいいのか?というところをお話していきます。

SDGsは現在のビジネストレンドに影響を与えている!

これまでのビジネスは「結果志向」でした。
ここで言う「結果」とはカネなどの経済的価値のことです。
企業はこの経済的価値の増大を中心にビジネスを考えてきました。

しかしながら、その思わぬ副産物としてESG問題などの社会的問題が発生してしまいました。
つまり、「結果」に至るまでの「プロセス」によって、環境破壊、経済格差、違法労働など、ESG問題が深刻化してしまった、ということです。

ビジネスにおいて経済的価値を無視することはできません。
しかし、それのみを追い求めると、ESG問題によってビジネス環境そのもの(地球、社会、人)の存続可能性が損なわれてしまいます。

よって、私たちはこうしたビジネスの「結果志向」から「プロセス志向」へと考え方を転換する必要があります。

プロセス志向のビジネスとは、言わば「ソーシャルビジネス」のことです。
「結果(=カネなどの経済的価値)を得ることにより社会貢献する」のではなく、「ビジネスプロセスの中で社会貢献し結果を作り出す」というベクトルの転換が、これからのビジネストレンドでは少しずつ主流になっていくでしょう。

顧客ニーズの変化に対応できているか?

顧客ニーズの質的変化についても企業は目を配らなければなりません。
その変化とは、世の中全般として、商品やサービス内容そのものだけではなく、商品やサービスが提供されるプロセスの社会性へのニーズが高まっているという変化です。

つまり、品質やコストなどの「経済性」に加え、自然環境や人権への配慮といった「社会性」が求められるということです。
これは自社に限ったことではなく、取引先の企業にまで範囲が及びます。
発注先の企業で人権侵害などの問題が発生すれば、発注元の企業の説明責任まで問われることになります。

いわゆる、「サプライチェーン」全体の「社会性」の高さが望まれているということです。
ESG問題は、企業の存続だけではなく、社会全体の存続の問題です。
消費者の視点が変わり、ニーズが変化することも自然なことでしょう。

以上、ビジネストレンドの変化についてお話しました。
SDGsの時代、企業には経済性と社会性、どちらも求められている、ということですね。

次号ではこの「経済性+社会性」という観点から、実際に皆さんの会社の現状がSDGsに適した経営体制をとれているのか?ということをチェックしていく、というステップに進んでみたいと思います。
お楽しみに。

※今回の経営メモは「会計士 中村亨の『経営の羅針盤』」第24回の内容を抜粋したものです。
本編をホームページにてご覧いただけます。

「会計士 中村亨の『経営の羅針盤』」第24回

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