2018.01.11

ビジネスEYE Vol.356


中村 亨の【ビジネスEYE】です。

WHO(世界保健機関)の定義によると、総人口のうち65歳以上の高齢者の割合が7%超になると「高齢化社会」、14%超で「高齢社会」、21%超になると「超高齢社会」とされています。
現在の日本の高齢化率は、27.3%。つまり「高齢化社会」ではなく、「超高齢社会」に位置づけされます。
※「平成29年版 高齢社会白書(内閣府)」より引用

今回ビジネスEYEでは、前々回に続き「人口減少」を考えます。

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■超高齢社会の日本
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2015年時点で1億2,700万人を数えた日本の総人口は、40年後には9,000万人を下回り、およそ100年後には5,000万人程度になってしまうと予測されています。

2014年に「日本創生会議(増田寛也 座長)」の人口減少問題検討分科会が発表した通称「増田レポート」から、『消滅可能性都市』という言葉が生まれました。「このまま人口が減少すれば、自治体経営が成り立たなくなる」といった警鐘を鳴らす内容でした。今後は、「人口は増加しない」という前提に立つ必要があり、「縮小」を主軸とした発想が必要となっていくのかもしれません。

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■戦略的に縮む ~小さくとも輝く国になる選択肢~
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政府が決定的な打開策を講じることができずにいるなか、産経新聞社論説委員・大正大学客員教授である河合雅司氏は、労働力の解決策の一つが「戦略的に縮む」ことだと著書「未来の年表 人口減少日本でこれから起きること」のなかで述べています。これは、人口が減っても国家が衰えないよう、社会をコンパクトで効率的なものに作り替えるという大胆な解決策『処方箋』を提案しています。

◇第1の処方箋 ~高齢者の定義の見直し~◇
日本老年学会・日本老年医学会などのワーキンググループが、近年の高齢者の心身の健康に関する種々のデータを検討したところ、現在の高齢者は10~20年前と比較して「若返り」の現象がみられると発表しました。昨年年1月には下記のような高齢者の定義を見直す提言を行っています。

65~74歳 准高齢者 准高齢期(pre-old)
75~89歳 高齢者 高齢期(old)
90歳以上  超高齢者 超高齢期(oldest-old, super-old)

この提言に従い、高齢者の線引きを「75歳以上」へ引き上げれば、2065年の高齢化率は25.5%にまで下がると河合氏は述べています。高齢者から外れる65~74歳の多くが働くのが当たり前の社会となれば、労働者不足も社会保障の財源問題も大きく改善すると考えられています。

◇第2の処方箋 ~24時間社会からの脱却~◇
「便利過ぎる社会」の見直しが有効だと提案しています。24時間365日の営業に加え、正確できめ細やかな「日本式サービス」を提供し続けるのは、現実的に厳しい状況にあります。24時間営業の縮小をはじめ、抜本的なサービスの見直しなども必要となります。なお、「便利過ぎる社会」から脱却するには、サービスの受け手である『消費者』の意識を変えることも重要なポイントです。多くを求めすぎない、相手の生活にも想いを馳せるといった、ある種の寛容さが求められます。

◇第3の処方箋 ~非住居エリアを明確化~◇
「非住居エリアを明確化」することで、人口だけでなく、行政サービスの集中も可能となるため、よりコンパクトで効率的な国に作り替えることができるとしています。

◇第4の処方箋 ~都道府県を飛び地合併~◇
「自治体の線引きの見直し」が必要だと提案しています。これまでのような自治体間連携や「道州制」構想では、人口減少は解決しない可能性が高く、これまでの発想を打ち破ることが重要だと述べています。遠く離れた自治体同士での広域合併も選択肢に入れることがポイントとなり、例えば、東京都と島根県、千葉県と佐賀県が合併するといったように、遠く離れた都道府県が「飛び地」として合併するぐらいの大胆な発想の転換が必要とされるそうです。大都市部と地方の自治体がもっと結びつきを深めることが重要となります。

◇第5の処方箋 ~国際分業の徹底~◇
「戦略的に縮む」ことに関する最後の処方箋は「国際分業」です。人それぞれに得手・不得手があるように、国家のレベルでも得手・不得手の分野があるでしょう。労働者人口が減っていく以上、若き労働者を十分確保できない業種もあるため、発想を転換し、日本の得意分野に絞ることで、日本人自身の手でやらなければならない仕事と、他国に委ねる仕事を思い切って分けてしまうのはどうかと提案しています。
限られた人材や資源を日本が得意とする分野に集中投入することで、世界をリードする産業として発展させていくほうか賢明だと述べています。また、「戦略的に縮む」だけではなく、その他の提案も河合氏は述べています。

第 6の処方箋 豊かさを維持する「匠の技」を活用
第 7の処方箋 豊かさを維持する 国費学生制度で人材育成
第 8の処方箋 脱・東京一極集中 中高年の地方移住推進
第 9の処方箋 脱・東京一極集中 セカンド市民制度を創設
第10の処方箋 少子化対策 第三子以降に1,000万円を給付
参考:『未来の年表 人口減少日本でこれから起きること』(河合雅司著/講談社現代新書)

危機的状況を認識するきっかけとなるよう河合氏は一石を投じる意味であえて大胆な解決策を提言しています。総人口が減り始めた今こそ、潮目が変わったことを認識すべき分岐点です。

日本という国家が変貌したのは、過去においては明治維新でしょう。1853年、ペリー来航に象徴される欧米列強の進出が強まるなか、幕末の約15年という短い期間で西洋文明から進んだ制度を吸収して反映させ、その後も独自の制度を構築していきました。欧米列強に直接支配を受けることなく、国家の基盤をつくりあげた手腕にもしかしたら次のヒントがあるかもしれません。自然豊かな環境面、テクノロジーといった優位性を発揮しながら、国としてどの方向に進むべきか、50年、100年先を見据えたグランドデザインを描いていきたいものです。

「戌笑う」の言葉通り、株式相場は活気づいています。景気も好調と予測されており、本年も皆様との信頼関係の向上に務めて参りたいと存じます。

当社グループは昨年で創業15年を迎え本年16年目に入ります。社員一同、グループ一同、気を引き締めて頑張りたいと思います。
本年も宜しくお願い致します。

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