2018.01.18

「小規模宅地等の特例」の改正(Vol.357)


中村 亨の【ビジネスEYE】です。

平成29年12月14日に、平成30年度税制改正大綱が発表されました。相続税に関連するものとして「小規模宅地等の特例」の改正も含まれており、相続対策を考える方にとっては看過できない内容となっています。

今回のビジネスEYEでは、弊社への相談事例をもとに、「貸家で相続対策ができなくなる!?」小規模宅地等の特例の改正のポイントを紹介していきます。

小規模宅地等の特例についての改正

昨年(平成29年)末に平成30年度の税制改正の大綱が発表され、貸付事業用宅地等の特例について、相続開始前3年以内に貸付事業用とされた宅地等については、特例の対象から除外されることとなりました。(平成30年4月1日以後の相続に適用)貸付事業用宅地等の特例とは、適用対象となる土地等の評価額を50%減額してもらえる措置です(限度面積は200㎡)。

ご相談内容を踏まえ、今回の改正点について考えてみたいと思います。

ご相談内容

父親に相続が発生しました。母親は既に他界しています。自宅の他に賃貸用マンションを1室所有していました。賃貸用マンションは亡くなる1年前に購入し、現在賃貸中です。

【家族構成】
父 (被相続人)
長男(法定相続人) ※父とは別居で持ち家暮らし

【財産構成】
自宅土地家屋   1億円
賃貸用マンション 1億円
預貯金      3,000万円

【日本クレアス税理士法人の対応】
長男は別居で持ち家を所有しており、居住用宅地等の特例は適用できません。
しかし、亡くなる1年前に購入したマンションが賃貸中であるため「貸付事業用宅地等の特例」を適用することができて、評価額を4,450万円引き下げることが可能になりました。

相続税の計算事例

■マンションの一室を貸している場合
(建物評価額5,000万円、土地評価額5,000万円)

①建物評価額 5,000万円×(1-0.3)=3,500万円 ※貸家評価
②土地評価額 5,000万円×(1-0.6×0.3)=4,100万円 ※貸家建付地評価

→ 更に貸付事業用宅地等の特例を適用すると4,100万円×50%=2,050万円

1億円の評価のマンションが、
①建物3,500万円 + ②土地2,050万円 = 5,550万円の評価となります。(借地権60%・借家権30%の場合)

賃貸用不動産の相続税対策のポイント

今回のケースでは、被相続人が亡くなる1年前に賃貸を開始して50%の貸付事業用宅地等の減額特例が適用できましたが、今後は税制改正により適用対象から除外されることとなりました。

相続税対策として駆け込みで賃貸用不動産を購入し、税負担を軽減することにストップをかけたわけです。今後はより計画的な対策を検討する必要があるためご注意下さい。

※但し平成30年3月31日までに貸付事業用とされた宅地等や、相続開始前3年を超えて事業的規模で貸付事業を行っている者が新たに貸付事業の用に供した宅地等の場合には、引き続き50%の減額特例の適用対象となります。

 

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