2018.04.12

ビジネスEYE Vol.369


中村 亨の【ビジネスEYE】です。

法務省は3月13日に、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」を国会に提出しました。

これによって作成が簡便に行える一方で、形式や記載内容の不備により法的な要件を満たさないこともあった「自筆証書遺言」の方式が緩和されます。

今回のビジネスEYEでは、本改正の要点をご紹介していきます。

 

◇ 自筆証書遺言の方式が緩和されます ◇

◆ 自筆証書遺言の改正

遺言書には自筆証書遺言・公正証書遺言・秘密証書遺言と3種類ありますが、紙とペンと印鑑があれば自分で作成することができる自筆証書遺言が最も簡単な方法ではないでしょうか。

しかし、簡単とは言ってもその全文を形式不備にならないよう自ら作成することは至難の業です。
内容を変更したい場合は書き換えればいいわけですが、その書き換えも全文自筆となれば一仕事です。
また、せっかく遺した遺言書も発見されなければ全く意味がありません。

更に発見後は家庭裁判所での検認が必要ですので、実際に開封できるのは2~3か月後となります。

そこで、自筆証書遺言の条件緩和のために、「民法及び家事事件手続法の一部を改正する法律案」
及び「法務局における遺言書の保管等に関する法律案」が国会に提出されました。

◆ 改正内容

改正の内容は大きく3つあります。

1.財産目録
財産目録部分に関しては、ワープロで作成したものや不動産の登記簿全部事項証明書などの別紙添付等も可能となります。そのすべてのページに署名捺印は必要ですが、書き換えを含め作成はとても楽になります。

2.保管場所
法務局で自筆証書遺言を保管できるようになります。遺言者の本人確認を行った上、遺言書の画像などの情報が磁気ディスク等に記録されます。遺言者はいつでも撤回することが出来、保管されている遺言書は返還され記録は消去されます。法務局での保管により遺言書の紛失や偽造を防ぐ効果があります。

3.検認
「法務局に保管された自筆証書遺言」については検認手続きを要しないこととされました。開封までの時間が短縮され、より早く遺言執行に取り掛かることが出来ます。

◆ ポイント

ご自身が自ら作成できるという意味で作成しやすい自筆証書遺言ですが、形式不備や紛失、偽造等により作成した遺言書が無駄となるケースもあり、その後の検認等にも手間と時間がかかっていました。
しかし今回の改正案が通れば、法務局保管によりその心配もなくなります。

また、自筆で全文を作成することにはかなりの神経を使いますが、最も負担の重い財産目録のワープロ等作成が認められることにより、その部分を専門家に委託することが可能となりました。思い立ったらすぐ内容変更に取り組むこともできますので、例えば、毎年年末等決まった日に見直すことも負担となりません。今回の改正が成立すればより遺言が身近な存在となることが期待されます。

ただし、気軽に作成した遺言書により遺産分割の問題が深刻にならないよう、ご自身で作成される場合にもまずは専門家に相談されることをお勧めします。

 

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