中村 亨の【ビジネスEYE】です。
日本ビジネスメール協会が発表した「ビジネスメール実態調査2017」によると、4割の人が仕事でメールを受信した際に、不快に感じたことがあったそうです。不快に感じた内容の第1位は「質問に答えていない」(35.59%)となっています。
相手が質問に答えていないことは、「よくあること」と軽視されがちですが、受信者の立場では失敗と言えるでしょう。それは、メールで答えが得られない場合は、改めて電話等で確認が必要であり、時間のロスを招いてしまうからです。相手から確実な回答を得るためにも、誤解を招かずに正しく読んでもらえるメール、素早く要点を伝えるメールを作成する必要があります。
本日のビジネスEYEでは「時短の達成するビジネスメール術(3)」をお届けします。
メールのメリットとデメリット
メールは、仕事で使われるコミュニケーション手段の第1位です。電話などと異なり、同時に複数人に対してアクションがとれること、また、相手の時間を拘束せずにコミュニケーションがとれるといったメリットがあります。さらに、履歴が残りますので、あとにトラブルが発生した場合の証拠となります。
しかし一方で、微妙なニュアンスが伝わりにくいこと、作成に時間がかかるといったデメリットもあります。デリケートな事柄や相手の反応を確認したい場合には、電話で直接話した方が時短につながるでしょう。
[これまでに紹介したメールの時短テクニック]
・要旨を最初に述べる
・簡潔な文章になるよう一文を短くする
・メールの「見た目」に配慮する
・件名の付け方を工夫する
曖昧な表現を使わない
コミュニケーションを円滑に進めるには、解釈に幅のある表現を避けることが必要となります。人は自分に都合よく解釈する傾向がありますので、曖昧さを避けるだけで、メール数の削減にもつながり、時短が可能となります。
【期限について】
曖昧な表現 :「なるべく早く連絡いたします」
具体的な表現:「お急ぎとのことでしたので、明日10時迄に連絡いたします」
【数量について】
曖昧な表現 :「多めに資料の用意をお願いします」
具体的な表現:「参加人数より10部多く資料をご用意お願いします」
【方法について】
曖昧な表現 :「資料を送ります」
具体的な表現:「資料をメールで送ります/郵送いたします」
やりがちなミスを回避する
7割を超える人が自分のメールに対して何らかの不安を抱いていることが、前出の調査で発表されています。実際に失敗してしまった項目としては下記のようになっています。
【ミスが多い項目】
第1位 ファイルの添付もれ43.82%
第2位 誤字や脱字36.98%
第3位 宛先(メールアドレス)の間違い28.74%
第4位 書きかけで送信27.01%
第5位 宛名の間違い15.51%
ミスをなくすことは、取引先や相手からの信頼を得ることはもちろん、仕事がスムースに進みますので、時短にも繋がります。ミスを撲滅させるために、下記の行動を心がけると良いでしょう。
【ミスを回避するために】
・ファイルを添付する際のルールを自分なりにつくる
・日時や曜日、製品名は、必ず確認する
・相手の肩書きや名前は、受信したメールからコピー&ペーストして使用する
・最後に送ったメールを返信する形でメール送信する(アドレス帳を使用しない)
メールで催促する場合
期日通りに相手から返答が来ない場合、皆様はどう対応するのでしょうか?待ってばかりでは自分の仕事が進みませんので、「催促のメール」を送るでしょう。とはいえ、配慮のないきつい印象のメールの文章だと、関係が悪化しかねませんので、相手に「逃げ道」を用意しつつ、メールで催促をする内容としましょう。
【催促するメールで使いたいフレーズ】
・「前回のメールが分かりづらかったと思い、改めてご連絡しました」
・「ご返信いただいているかも知れませんが、確認のため連絡いたしました」
こうしたフレーズを使い、自分にも「非がある」可能性を残しつつ、相手にやんわりと行動を促すやり方は、賢い手法と言えるでしょう。
メールは書くことが目的ではなく、「アポイント獲得」「セミナーへの参加」「入金のお礼」など、メールの先には相手に取ってほしいアクションがあります。そうした目的を忘れずに、相手と「対話」をイメージしながら書くことで、より効率的でムダのないメール作成ができるのでしょう。(参考:『週刊ダイヤモンド』2018年1月20日号/日本ビジネスメール協会「ビジネスメール実態調査2017」)
ファイル共有などシステムの導入を検討も
上記のようなポイントを心がけるだけで、メールに関わる時間を削減することができるでしょう。会社としてメールに対する共通認識をもち、テンプレートの共有、ルールの徹底、不要な「cc」の見直しなどを行うことで、時短につながるでしょう。最初は小さな取組みですが、月単位・年単位で考えれば大きな時間の短縮につながります。
また会社として、新しい機能や環境を変えることで、コミュニケーションの活性化や時短につながるのであれば、システムの導入を検討してもよいでしょう。Google Cloud の「G Suite(ジースイート)」や、マイクロソフトの「Office 365」、アップルの「iCloud」などを使うことで、クラウド上でファイルの共有ができるでしょう。
クラウド上でファイルを共有すれば、共同で編集ができ、変更もすべて保存されます。旧来のように、メールに資料を添付して、別名で保存して……といった面倒なやりとりがかなり省けるかもしれません。生産性の向上や残業抑制への取組みの第一歩として、始めてみてはいかがでしょうか。
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