2018.09.06

ビジネスEYE Vol.389


9月に入り、年末調整が気になる時期となりました。ご準備は進めていらっしゃいますか?

平成30年の年末調整については、申告書の変更や配偶者控除の見直しなど、気を付けたいポイントがあります。

なお、弊社は年末調整関連業務のアウトソーシングも承っております。経験豊富なスタッフにより、貴社の業務負荷や管理コストの軽減、業務の効率化に寄与いたします。ぜひお問い合わせください。
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今回のビジネスEYEでは、「知っておきたい年末調整の留意点」をお伝えします。

 

そもそも年末調整とは?

ご存じの方も多いとは思いますが、年末調整とは、会社が年末時点で在職している給与所得者(サラリーマン)のために行う、簡易的な確定申告です。毎月の給料等から源泉徴収された所得税を、1年間の給料総額が確定する年末にその納めるべき正しい税額を再計算して、その差額を還付(または徴収)するのです。

扶養控除、保険料控除などを忘れてしまうと税金を多く負担することになりますので注意が必要です。ただし、サラリーマンの中でも、給与が2,000万円を超えている方や、副業や株式売買等で20万円超の所得がある場合は確定申告が必要です。

 

申告書の変更について

昨年まで使用していた「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」が、2つの申告書へと分かれます。一方、「扶養控除等申告書」については前年同様です。

【平成29年度までの申告書】
・「保険料控除申告書 兼 配偶者特別控除申告書」
・「扶養控除等(異動)申告書」

【平成30年度からの申告書】
・「保険料控除申告書」
・「配偶者控除等申告書」
・「扶養控除等(異動)申告書」

申請書の変更に伴い、記入に関する問い合わせが増える可能性があります。

 

配偶者控除の見直し

平成29年度税制改正で、配偶者控除の見直しが行われました。現行の制度とあわせてご紹介します。

下記は、夫の年収が1,120万円以下(合計所得金額900万円以下)であり、納税者本人であるという前提で書きます。また、夫も妻も給与所得者とします。

【平成29年度まで】
妻の年収が103万円以下なら、夫は配偶者控除として38万円の所得控除の適用を受けることができました。また、妻の年収が103万円を超え141万円以下の場合は、配偶者特別控除が適用されます。

・妻の年収が103万円以下・・・・・・配偶者控除(38万円)
・妻の年収が103万超141万円以下・・配偶者特別控除(金額は段階的に減少)

【 平成30年度の変更点 その1 】
配偶者控除の対象となる妻の年収はこれまでと変わりませんが、配偶者特別控除が拡大され、妻の年収が103万円超150万円以下なら、夫は配偶者特別控除として38万円の所得控除が受けられるようになります。

・妻の年収が103万円以下・・・・・・配偶者控除(38万円)
・妻の年収が103万超150万円以下・・配偶者特別控除(38万円)
・妻の年収が150万超201万円以下・・配偶者特別控除(金額は段階的に減少)

妻の年収が150万円を超えても201万円までは配偶者特別控除が適用されます。
今までは対象ではなかった方も、今回の年末調整では改めて計算をし直して、確認する必要があるでしょう。

【 平成30年度の変更点 その2 】
配偶者特別控除の対象となる妻の年収の上限は引き上げられますが、控除額は適用される夫の年収によって逓減・消失します。
妻の年収と、夫の年収の双方により、控除額が変化しますのでご留意ください。

夫の年収(合計所得金額)は、下記のように4つに区分されます。
(1) 1,120万円以下(900万円以下)
(2) 1,120万円超1,170万円以下(900万円超950万円以下)
(3) 1,170万円超1,220万円以下(950万円超1,000万円以下)
(4) 1,220万円超(1,000万円超)

例えば、妻の年収が103万円まで(合計所得金額が38万円まで)の場合。
夫が(1)の場合は、配偶者控除38万円が適用されます。
夫が(2)の場合は、配偶者控除26万円が適用されます。
夫が(3)の場合は、配偶者控除13万円が適用されます。
夫が(4)の場合は、配偶者控除の適用を受けることができません。

夫が(4)に当てはまる方は、今年度から配偶者控除の適用を受けることができなくなります。申告書においては、妻は「源泉控除対象配偶者」にはなりませんので注意が必要です。

 

社会保険にも注意が必要

所得税や住民税の他に社会保険(年金・健康保険)が関わってきます。妻の年収が103万円までの場合は、現状通り、配偶者控除を受けることができます。夫の会社の健康保険に加入されている方は、社会保険についても変更ありません。

ただし、妻の年収130万円(大企業では年収106万円※)を超えると、夫の社会保険上の扶養から外れなければなりません。

※大企業では、パートなどの雇用形態で働く従業員に対して、平成28年10月以降、社会保険の適用の拡大が行われました。
ただし、下記の5つ全てを満たした場合においてです。

【短時間労働者に対する社会保険の適用拡大】
・週の所定労働時間が20時間以上ある
・雇用見込みが1年以上ある
・賃金月額が8万8,000円以上ある(年収106万円以上)
・学生ではない
・被保険者数が常時501人以上の企業に勤めている
(500人以下の事業所でも、労使の合意など一定の要件のもとで適用は可能)

働く職場によっては、上記のように社会保険が異なります。
仮に、妻が収入を増やした場合、それまで発生していなかった健康保険料や厚生年金保険料が発生して、給与の手取り額に影響することも想定できます。

社会保険に加入することで将来受け取る年金額が増える等のメリットもあるのですが、「知らなかった」とトラブルにならないよう理解を得ておくことをおすすめします。

 

家族手当への影響

夫の勤務先から福利厚生の一つとして、「家族手当」や「扶養手当」等が支給されている方も多いと思います。その場合、妻が一定の収入以下であることを要件とする企業が多く、健康保険の扶養基準や税法上の扶養を基準としている場合が多いといえます。

そのため、妻が収入を増やした場合、家族手当が打ち切られるというケースも想定できます。会社によっては、扶養手当の支給範囲は異なりますので、就業規則などを確認して、ご自身にあった働き方を考えていただきたいと思います。

上記の改正点・留意点を踏まえ、従業員への改正内容の告知と申告書の記載依頼を適切に行うとよいでしょう。まずは、何がどう変わり、どのように記入するのかをしっかり理解してもらう必要があります。

年末調整の業務(各種申告書の準備、税額計算等)をプロに委託することは、社員をコア事業へ集中させ、生産性を向上させる一つの選択肢となり得るでしょう。

「業務委託を進めたい」「プロに任せたい」とお考えの方は、10月末までにご相談いただきますと、平成30年の年末調整から承ることが可能です。お気軽にお問合せください。
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