2018.09.13

ビジネスEYE Vol.390


中村 亨の【ビジネスEYE】です。

4月12日配信のメルマガで自筆証書遺言の改正案をお伝えしました。この改正案は、平成30年7月6日に成立され(公布は平成30年7月13日)、平成31年1月13日に施行されます。

改正のポイントを踏まえ、本日は「自筆証書遺言の活用方法」について考えていきたいと思います。

自筆証書遺言の活用方法

◆ 自筆証書遺言書の改正

4月のメルマガでもお伝え致しましたが、改正点は、大きく3つあります。

1. 財産目録をパソコンで作成、又は通帳の写しなどを別紙添付できる。
2. 法務局で自筆証書遺言(原本)を保管できる。
3. 法務局に保管された自筆証書遺言は、検認手続きが不要となる。

 

◆ 改正による効果

(1)相続を巡る紛争回避
今まで、自筆証書遺言は、自宅の引き出しや金庫等で保管されることが多く、遺言書の紛失や一部の相続人によって意図的に遺言書の隠ぺいや偽造をされる可能性がありました。これらは、相続人間で紛争が生じる原因とも言えます。今回の改正で、公的機関である法務局が自筆証書遺言を保管できるようになりました。これにより、遺言書の紛失や意図的な隠ぺい等を防ぐ効果が期待できます。

(2)相続手続きの円滑化
改正前は、自筆証書遺言が見つかると、相続人等の立ち会いのもと、家庭裁判所での検認(けんにん)が必要でした。そのため、遺言執行まで 2~3ヵ月かかることがあり、その間は被相続人の預貯金は凍結されたままで、配偶者が生活費に困ることがありました。改正により、法務局に保管された自筆証書遺言は検認の必要がなくなったため、相続手続きが終了するまでの時間が短縮されることが期待できます。

 

◆ 留意点

今回の改正で、自筆証書遺言はより身近になり、法務局に遺言書を預ける方が増加することが予想されます。法務局は、保管時に本人確認と、日付の誤りや署名・押印もれなどの形式審査を行うようになりますので、書き間違いによる無効を防げるでしょう。

ただし、民法改正後も、自筆証書遺言の書き方には注意が必要です。例えば、相続人の遺留分が侵害されていないか、又は遺言執行者の指定がされているか等は、法務局では確認しない可能性が高いでしょう。せっかく書いた遺言書によって、逆に相続争いを生んでしまうかもしれません。

 

◆ 活用方法

自筆証書遺言は、公正証書遺言や秘密証書遺言と比べてご自身で手軽に作成できる遺言書と言えます。不動産の購入・売却をした場合や家族構成が変わる場合など、一度書いた遺言書を訂正する必要があるときや、家族への思い・死後の葬儀方法などのメッセージ(付言事項)を重視したい場合には自筆証書遺言が適していると考えられます。

特に、付言事項には公的な拘束力がありません。

そのため、公正証書遺言では軽視されますが、何故このような遺産分割方法になったのか、また家族にどうして欲しいのか、ということを記載することで、相続人が遺言者の意思を尊重し、相続争いが回避されることがあります。
ただし上記の留意点に記載したとおり、改正しても書き方には注意が必要です。自筆証書遺言を有効に活用するためにも、専門家への相談をお勧めします。

 

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