2019.11.14

紀州のドン・ファンの遺言(Vol.453)


2019年9月に昨年からニュースで大きく報じられていた和歌山県在住の資産家である野崎幸助氏。

通称「紀州のドン・ファン」が作成した自筆証書遺言が出てきたそうです。
遺言書の内容は「全財産を田辺市に寄贈する。A社とB社の清算を頼む」だったようです。
遺言書を「野崎さんの知人が保管していた」という点も話題になった理由ではないでしょうか。

今回の【ビジネスEYE】では、数字で見る遺言書のトレンドと、野崎さんが遺した遺言書を基に、遺言書を作成するときの留意点についてお伝えいたします。

 

(1)数字で見る遺言書のトレンド

遺言書の作成件数は年々大きく増加しています。

【公正証書遺言作成件数】(公証人に遺言書の執筆と保管を依頼する方式)
・平成21年度  約78,000件
・平成30年度  約110,000件
(参考:日本公証人連合会遺言公正証書作成件数)

約10年間で140%程度増加していることになります。一方、年間の相続発生件数について見ていきましょう。

【平成29年分 年間相続発生件数】
・死亡人数           約1,340,000人 
・相続税課税対象者数      約112,000人(年間死亡人数との割合:約8%)
・被相続人一人当たりの相続税額 約1,700万円
(参考:国税庁「平成29年分相続税の申告状況について」)

平成30年度の公正証書遺言の作成件数が約110,000件であることを考えると、相続税の課税対象者数約112,000人と近い数値になってきています。

将来的には、突然亡くなるケースを除いて、ほとんどの相続税の課税対象者に遺言書がある、という時代になるかもしれません。

法改正などの影響で遺言書が身近になって、誰でも気軽に作成できるようになったことが増加の要因と見てとれますが、後々揉めないように早めの対策をする重要性が世間的に浸透してきたようにも思います。

ただ、実際作成するときは、間違いなく専門家に相談するべきです。なぜなら、記載方法を間違えた遺言書だと意味をなさない可能性があるからです。

 

(2)ドン・ファンの遺言書にアドバイス!

冒頭の「紀州のドン・ファン」こと野崎氏の遺言書内容について、「全財産を田辺市に寄贈する。A社とB社の清算を頼む」と残されていたわけですが、もし日本クレアスグループが野崎氏から相談をうけていたら―

下記4つのアドバイスで、遺言書に従うべき方々に少しでもご納得いただけるよう、誠心誠意対応させていただきます。

アドバイス1:知人に遺言書を預けるのはおすすめしません

今回保管していたという知人の方に万が一のことが起きてしまった場合、遺言書はどのようになっていたのでしょうか?
せっかく遺言書を作ったのに発見されない可能性すら出てきます。
日本クレアスグループでは、永続して遺言保管を引き継げる法人や、弁護士や税理士などのプロフェッショナルに保管を依頼することをおすすめしたと思います。

アドバイス2:資産を明確にする

遺言書の条項に資産を明記しておくことをおすすめします。 
どのような資産を所有しているか明確に記載することで、相続人が名義変更等に要する作業や負担は相当軽減されます。
そのために遺言書作成のタイミングで全財産を明確に書き出すことが重要です。

アドバイス3:付言事項を記載する

野崎氏は「全財産を田辺市に寄贈する」と残したわけですが、この遺言書の内容に、誰もが「なぜそのように考えたのか?」と疑問を持ったと思います。是非、最後の言葉として遺言書を残した趣旨をご家族に伝えることも必要です。

アドバイス4:予備的項目を記載しておく

・相続発生時に妻がいる場合は ○○する
・相続させる妻が万が一遺言者より先にもしくは同時に死亡した場合は○○する
このように、将来起こる可能性も考慮しておきましょう。
こちらの予備的項目は「遺言書を書き換えられなくなる場合」にも有効です。

 
 

遺言書は作成することだけでなく、その作成の意図などご自身の思いを記しておくことが重要です。

「なんで兄弟の分け前が多いの?」「何も残されないなんて母がかわいそう」「自分だけ損している気がする」など、公平を期したとしても、それを計る物差しは人それぞれ。

遺言書はいつでも書き換え可能なので、既に遺言書を作成された方は今一度付言事項や予備的項目を見直し、ご自身の意図を示すことで、揉めごとの火種を防ぐ一手を講じてみてはいかがでしょうか。

「遺言書」にまつわるご相談は、日本クレアスグループの中でも実績豊富な日本クレアス財産サポートに是非お任せください。
税理士、会計士、ファイナンシャルプランナーの経験を集約し、包括的観点で、よりベストなご提案をさせていただきます。

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