2019.12.13

高齢化・認知症の生前対策―家族信託―(Vol.457)


12月4日の日本経済新聞の特集に「日経認知症シンポジウム」開催の記事があり、人生100年時代における認知症との共生に関して特集されていました。

世界に先駆け高齢化が進む日本では、高齢者の数は年々増加傾向にあります。
65歳以上は3588万人で、総人口の5人に1人。
75歳以上は1848万人で、総人口の7人に1人。

今後、認知症に罹患している人の数も年々増加の一途をたどります。
2015年には65歳以上の7人に1人が、10年後の2025年には65歳以上の5人に1人、つまり700万人超が認知症になると推計されています。

65歳以上の割合が高くなっていく中、日本クレアスグループでも「相続」「事業承継」だけでなく、「高齢化・認知症」に関する生前対策のご相談も非常に増えてきています。

そこで、今回の【ビジネスEYE】では、最近各メディアでも頻繁に紹介され、新しい相続・認知症対策として注目されている「家族信託」についてお話しいたします。

 

(1)家族信託の仕組み

「信託」とは、財産の所有者(委託者)がその財産の管理・処分を信頼する者に託し(受託者)、利益を受ける者(受益者)のために目的を定め運営を行う仕組みを言います。原則として信託契約を締結した時点で委託者から受託者へ財産の管理・処分の権限が付与されますが、その際、報酬を取らない信託を民事信託と呼び、世間では家族信託の愛称で通っています。

では、その家族信託のメリット・デメリットについて見ていきましょう。

▼メリット
 ・財産管理に関する契約行為等を、本人の判断能力の有無に左右されずに実行できる。
 ・財産の管理・処分を受託者の一存で行えるため、後見人制度に比べ財産を管理している側の自由度が高い。
 ・遺言では出来ない二次相続以降の資産承継先についても指定ができる。
 
▼デメリット
 ・受託者に権限が集中する為、選任は慎重に行う必要がある。
 ・受託者に選任されなかった兄弟姉妹と揉める可能性がある。
 ・収益不動産を信託した場合、赤字が出ても損益通算することができない。

家族信託では、受託者の裁量で契約行為が行えるため、時に委託者の意図しない財産処分を実行する恐れがあります。
しかしながら、契約内容を自由に設定できることが出来るため、契約書で特例処置を設けることで、受託者の権限に抑止を掛けてリスクヘッジをすることも可能です。一般的なものは、受託者が勝手に財産を処分しないように、監督人を設置して制限をかける方法です。

 

(2)受託者権限の抑止には監督人の設置を

契約の当事者以外を第三者として信託「監督人」を設置することで、委託者の意図しない財産処分を抑止することが可能です。契約締結時に監督人の選任と、委託者に対して同意を取るとうたった信託契約書を作成することで設置できます。

▼メリット
・委託者の判断能力が無い場合、監督人の同意なしに財産を勝手に処分できない。
・監督人は受益者利益の保護、帳簿等の閲覧等請求権、受託者の解任権利などの、法定権限を有している。(一部権限を除外することも可能です。)
・監督人にはご家族や司法書士、株式会社なども選任できる。

▼デメリット
・対策実行に当たり厳重になる過ぎるため、スムーズに実行されない。
・監督人と対立すると、対策を実行できず信託の意味を成せなくなる。

この民事信託は、特に不動産オーナーの方には有効であると考えられています。
不動産オーナーであれば相続で共有になった土地や建物を信託財産として、名義を集約することや、認知症となった際の修繕・売買等の各契約を本人に代わって行うことが可能となります。

受託者に現金を自由に使われるなどの心配は監督人選任によりリスクヘッジすることができますし、不動産を売却した際の売買代金や賃貸物件の収益は、信託契約締結後に作成する信託専用口座に入金されます。受託者の口座を介在することはありませんので、不正に利用されることはないと言えるでしょう。

また、売買代金の使用用途についても信託契約書に明記することが可能です。あくまでも受託者は財産の管理・運営を行い、信託財産の利益は受益者に渡します。

判断能力がしっかりしているときはご自身で財産管理を行い、ご自身の判断能力が不十分になってからは、受託者として定めた後継者が財産管理を行う―

信託は、生前の事業承継・相続対策と言われていますので、一度ご検討してはいかがでしょうか。

 
 
日本クレアス財産サポートでは信託の活用に関するヒアリングから専門家のご紹介などもサポートさせていただきます。
信託全般に関して困りごとがございましたら、お気軽にご相談ください。

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