2020.04.27

コロナ禍に伴う3月期決算の動向とポイント(Vol.476)


全都道府県において緊急事態宣言が引き続き発令されている状況です。

3月決算の上場企業は通常、有価証券報告書を6月末までに提出する義務がありますが、緊急事態宣言を受け、提出期限が一律に9月末まで延期されることとなりました。(参考)金融庁「新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言を踏まえた有価証券報告書等の提出期限の延長について

また、東京証券取引所は、決算期末から45日以内に決算発表すべきとするルールに依らず、決算発表日程の延期を検討するよう要請しています。(参考)日本取引所グループ「有価証券報告書等の提出期限の延長」に伴う決算発表日程の再検討のお願い

 
日本取引所グループが運営する適時開示情報閲覧サービスによると、これまでの状況では、4/17までは一日あたり10社程度、4/20以降は一日あたり20社から60社程度の上場企業が、新型コロナウイルス感染拡大に起因した決算延期もしくは時期未定(白紙化)の発表をしています。

今回は、決算発表の延期を表明した企業の事例をもとに、各上場企業が置かれている状況、そして上場企業決算のポイントを見ていきたいと思います。

 

■決算発表延期の動向

決算発表延期の公表にあたって、各上場企業が理由として開示している内容は次のとおりです。

①海外子会社の所在地情勢(ロックダウン措置等)による決算の遅れ
②日本国内において、緊急事態宣言を受けた在宅勤務対応による決算の遅れ
③監査法人がテレワーク化している事による監査の遅れ

 

①ロックダウン措置中の国に海外子会社を有する上場企業の場合、
子会社の決算データを入手する目途が立たず、その結果、連結決算ができない
というケースが多いものと思われます。

②日本国内においても、在宅勤務の環境下で例年通りの決算スケジュールを
踏襲するためには、決算の根拠資料を全面的にIT化するとともに、在宅環境下で
会計システムへのアクセスをスムーズに行えるようにするという、ITインフラ面
での高いハードルをクリアする必要があります。

③監査法人も、新型コロナウイルス感染拡大を受けてテレワークを推進している法人が
多い状況です。決算期末の監査手続は、証憑突合手続における原始帳票の確認、
経営者や監査役や経理担当者へのヒアリング、得意先担当者が出社している事を
前提にした売掛金残高確認手続など、テレワークでは限界のある手続も多く、
結果として会社の決算スケジュールにも影響を及ぼしているものと思われます。

 
延期後の決算発表予定日時は概ね下記のような傾向が見られます。
●4月下旬発表予定の会社→5月中旬への延期
●5月中旬発表予定の会社→5月下旬から6月への延期、もしくは日時未定

現時点では、例年通りのスケジュールでの決算発表を予定している上場企業が
多い状況ですが、決算発表の延期を表明している会社数が徐々に増えてきており、
今後の新型コロナウイルス感染の拡大によっては、多数の上場企業が決算発表の延期を
決定する可能性もあります。

■新型コロナウイルス感染拡大のもとでの上場企業決算のポイント

コロナに感染した場合、どのような保険金の対象になるのか、個人・法人ともにご紹介します。

企業会計基準委員会から、企業決算における新型コロナウイルス感染症の影響の
考え方が公表されました。(参考:企業会計基準委員会

上場企業における決算では、平常時においても固定資産の減損会計や繰延税金資産の
回収可能性の判断など、決算日以降の損益キャッシュ・フローを予測し、それをもとに
決算数値の見積りや判断を行うという、将来の不確実な情報を定量化するという
困難さを伴っています。

それが今般の新型コロナウイルス感染拡大のもとでは、過去に前例がない状況
ということもあり、決算日以降の損益キャッシュ・フローの予測がこれまで以上に
難しいものとなっています。

そこで、企業会計基準委員会では、「企業が置いた一定の仮定が明らかに不合理で
なければ、見積もられた金額について事後的な結果との間に乖離が生じたとしても
誤謬にはあたらない」という旨の考え方を公表
し、決算実務における見積りや判断の
後押しをしました。

平常時の決算においても、決算見通しにおける予測値と実績値は投資家や監査法人から
興味をもって比較されるポイントですが、2020年3月期決算においては、事後的には
「損失の取り込み漏れ」に見えてしまうような結果となったとしても、

【決算をとりまとめた時点において適切な仮定を置いており、明らかに不合理な予測を
していたわけではない】

ということを投資家や監査法人に説明できるよう準備しておくことがポイントになります。

 
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