2020.11.18

『待遇格差の最高裁判決』-労務トピック(Vol.499)


中村亨の「ビジネスEYE」です。

10月13日、15日に正規社員と非正規社員の待遇格差の合理性について最高裁で判決がありました。今回の判決は、今年の4月の法改正によりスタートした同一労働同一賃金への対応の参考になるとされ、大変注目されていました。

新聞・ニュースなどで「非正規社員には、賞与・退職金を認めず」という見出しが踊りましたが、一審、二審、最高裁で判決が二転三転していることからも判断が非常に難しく、一概に契約社員やパートタイマーのすべてに対して賞与、退職金の支払いが必要ないというわけではありません。

今回のビジネスEYEでは、最高裁判決のポイントについてみてみましょう。

 

■不合理な待遇格差の判断ポイント

パートタイム・有期雇用労働法では、『正社員と非正規社員との間であらゆる待遇について不合理な差を設けることの禁止』を定めています。この、不合理であるかつまり格差に合理性があるかについては、次の観点をもとに判断すると厚生労働省がガイドラインで示しています。

◎職務の内容
 ┗ 業務の内容(職業上継続して行う仕事) 
 ┗ 業務に伴う責任の程度(決済できる金額・部下の人数・売上など成果への期待など)
◎職務の内容・配置の変更の範囲
 ┗ 転勤や昇進といった人事異動や本人の役割の変化等の有無と範囲
◎その他の事情
 ┗ 成果、能力、経験、合理的な労使の慣行、労使交渉の経験など

簡潔に言い換えると、正規・非正規の待遇格差の合理性は、「仕事の内容」「責任の程度」「配置転換の有無」「その他の事情」から判断されるわけです。

次は、具体的な裁判の例を挙げて、最高裁判断のポイントを見てみましょう。

■「不合理」の二審判決を最高裁では覆す

【大阪医科薬科事件】とは、2013年1月から2年余り、フルタイム・時給制で勤務していた原告が、同じ仕事をする正職員には支給されているボーナスがない事、本給の格差などが労働条件の不合理な違いを禁じた労働契約法20条に反するとして大学側に支払いを求めた訴訟です。

「不合理」判決が出た二審では、正職員に支給されている賞与の支給基準といった特性について注目。賞与は就労すること自体への対価として支給しており、就労していること自体はアルバイト職員も同じで不合理であるとして正職員の60%の金額を支払うべきとしています。

「不合理ではない」判決が出た最高裁では、厳密に仕事の内容、責任の程度、転勤の有無について精査し判断をしています。判決を端的にいえば、以下のようになります。

太【正職員の仕事は難しく、アルバイト職員の仕事は易しい、難しい職務を遂行する正職員の長期雇用を促すために賞与を支給しているので、不合理な格差とは言えない】

■企業における「同一労働同一賃金」への対応

今後も継続的に正規・非正規の待遇格差に関する訴訟については注視することが求められますが、企業においてはどのような点に留意すべきなのでしょうか。

前述の最高裁が注目したポイントを考慮した上で、次の対応が考えられます。
✔ 非正規社員の待遇改善(必要に応じて正社員への転換)
✔ 待遇差について合理性が説明できるように仕組みを変更する

各事件の詳細や企業が取るべき対応について、日本クレアス社会保険労務士法人のWebサイトでより詳しく解説をしています。以下URLよりぜひご覧ください。
>>> https://ca-sr.com/report-treatment/

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日本クレアスでは、企業の正規社員と非正規社員の待遇の格差について内容を整理し、
対応の方向性をお示しします。そして必要に応じて制度の変更や就業規則の整備をご支援します。
人事労務に課題をお持ちの場合には、ぜひお気軽にお問い合わせください。

◆お問合せ先◆
日本クレアス社会保険労務士法人
◎電話:03-3593-3241
◎サービス案内・お問合せフォーム:https://ca-sr.com/contact/

 

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