ミスマッチをなくす人事評価項目の設定とは?(Vol.503)


中村亨の「ビジネスEYE」です。

従業員の人事評価に課題意識を持つ経営者や人事担当の声を耳にします。
人事評価制度は、給与額を決定する物差しの役目だけではなく、モチベーション向上や人材定着、メンバーやマネジメント層の成長を通して、結果的に業績に跳ね返ってくる非常に重要な制度です。

しかしながら、「会社の方針や業務内容」と「評価の項目」のミスマッチが原因でうまく機能しないことが多々あります。

今回のビジネスEYEでは、人事制度の効果を引き出すために必要な二つの項目「成果評価」「行動評価」をご紹介します。

ミスマッチが原因で機能しない人事評価

人事評価制度の効果を引き出すためには、会社の方針と個々の社員の業務や課題に応じて、評価項目を決定することが求められます。

会社の方針と評価項目がミスマッチの場合

・「会社が社員に期待する方向性」と「社員が評価項目を意識した行動」にずれが生じる
・結果として期待した人材に育たない
・評価項目を達成したとしても業績に結び付かない

社員個人の業務と評価項目がミスマッチの場合

・管理職(評価者)は、感覚で評価することになる
・部下(被評価者)に対して、適切なフィードバックをする自信がなくなる
・説明できないので、無難な中間点に置き、各項目が中間点に集中する
・差がつかない評価制度になってしまう
・「頑張っても差がつかないなら」と評価業務に真摯に取り組まず、形骸化する

そして評価の対象としては、業績などを定量的に評価する『成果評価』と社員の行動など定性的に評価する『行動評価』があります。

業績などを定量的に評価する『成果評価』

成果評価とは、会社経営上求められる数値を個人やチームに当てはめて定量的に評価するものです。項目は業績、ミッション、それらを達成するためのプロセスなどから決定していきます。

最終的なゴールを「利益」とすると、これらを達成するためのプロセスを整理し、メンバーの役割から特に意識してもらいたい数値(顧客数、客単価、在庫高など)を評価項目に落とし込むことがポイントです。

社員の行動など定性的に評価する『行動評価』

行動評価とは、仕事のできる人の行動特性の「コンピテンシー」や仕事に取り組む姿勢の「情意」など、様々なカテゴリーがありますが、ひとくくりにすると行動に対する評価です。

例えば「顧客志向」のポリシーを大事にしている会社であれば

・お客様の感動を共感でき、その気持ちを理解した上で相応しいサービスや接遇することの重要性を理解している
・自身の接客態度が自社への信頼や満足を大きく左右することを理解している
・お客様に配慮した丁寧な言葉遣いで応対するとともに好感をもたれる抑揚で言葉を伝えている

といったものが評価項目として挙げられます。

「期限内に仕様通りの製品を納品する製造業」と「ホスピタリティーが求められるブライダル業」とでは項目はもちろん違います。管理職であればマネジメントの要素、間接部門であればミスなくスピーディーにこなす要素、新卒であれば社会人としての基本的な素養など職種や職位によって変わります。

行動評価の項目は、事業内容・会社の方針・職種・職位ごとに項目を決定していく必要があります。

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行動評価には、社員が個人ごとに自分のミッションや課題から、自ら目標を立て、達成に向けての挑戦や行動の改善を促す「目標管理制度」があります。詳細をWebサイトでご紹介しています。成果評価・行動評価の更に詳しい説明と合わせてぜひご覧ください。

●〇●ミスマッチをなくす人事評価項目の設定とは?/日本クレアス社会保険労務士法人
https://ca-sr.com/report-evaluation1643/

 

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