2021.02.04

日本的雇用を崩す「ジョブ型」経団連が導入促す(Vol.508)


中村亨の「ビジネスEYE」です。

経団連は春季労使交渉の企業向け指針で「ジョブ型雇用」制度の積極的な導入を呼びかけています。またその対象を管理職や中途入社だけではなく、新卒にも広げることが望ましいとしています。

企業の生産性を上げ、競争力を強化する策として「ジョブ型雇用」は関心が高いものの、従来の人事や組織を根本から見直す必要があり、安易な導入は禁物です。

今回のビジネスEYEでは、日本型雇用のこれまでの慣行を否定するジョブ型雇用についてその意義を見てみましょう。

(参考:日本経済新聞/2021年1月5日・1月26日)

 

日本型雇用は「メンバーシップ型」

ジョブ型に対し、日本では「メンバーシップ型」と呼ばれる雇用慣行が一般的です。給与は何(誰)に対して支払われるかという視点で見ると、職務に対して支払われるジョブ型に対して、メンバーシップ型は人に対して支払われます。

日本は、年功序列・終身雇用・労働組合といういわゆる「三種の神器」の存在からも分かるように、人に対して給与を支払ってきました。雇用とは会社のメンバーになるということであり、就職は職務よりも“どこの会社か?”が重要でした。

ですが、年功序列や順送り人事といった、日本の雇用慣行を否定するジョブ型雇用が浸透すると、会社との関係が「業務」や「職務」中心的なものになり、共同体として機能していた組織との関係が薄くドライになることは避けられないでしょう。

テレワークがジョブ型への移行を後押し

ジョブ型雇用への関心の高まりは、グローバリゼーションなどの要因がありますが、コロナ禍におけるテレワークへの移行も関心を高めた大きな理由でしょう。

テレワークでは仕事相手や部下・同僚の様子がわからないため、担当職務の内容や仕事の進捗、成果をより正確に把握する必要があります。

テレワーク導入の大前提として、業務や成果の明確化、可視化、数値化が整備されている必要があります。この点が、職務記述書(ジョブディスクリプション)により担当職務を言語化するジョブ型雇用と相性が良かったのでしょう。

テレワークがジョブ型への移行を後押し

ジョブ型制度は社内各ポストの職務内容を明確にし、その能力を持った人材を起用するため有能な社員ほど難易度が高く待遇も良いポストに就くことができます。ここが肝であり、ジョブ型雇用の導入の効果の一つに「社員間の競争を活発にする」点があります。

専門性が必要で報酬が高い職務に就くためには、自らの能力を向上させる必要があり、ポスト獲得競争を通じて各個人のレベルを引き上げることがジョブ型雇用制度の眼目です。

ただ、社員間の競争の活発化による実力主義の徹底が狙いなら、ジョブ型の導入以外にも、目標管理制度を機能させ、仕事内容と賃金を連動させることも解決策の一つでしょう。

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Webメディア「Kaikei Zine」において連載している「会計士 中村亨の『経営の羅針盤』」ではジョブ型雇用については「第2回-コロナ終息後の日本企業の雇用」で解説しています。

その他、コロナ禍から企業が立ち上がるための「両利きの経営」「2021年ビジネス潮流」などコラムではキャリアや経営にまつわるトピックを様々な角度から切り取り紹介しています。よろしければぜひご覧ください。

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