中村亨の「ビジネスEYE」です。
1月26日に国税庁から土地の評価算定に使用する路線価について、大阪市内の一部の地域を対象に、減額補正すると発表がありました。
新型コロナウイルスの影響による減額補正は、全国でも初めてとなりますが、土地所有のオーナー様にとって気になる話題ではないでしょうか。
今回のビジネスEYEでは、相続税申告書の提出後でも行える【相続税申告の見直し】についてご紹介します。
減額補正された大阪の地域
今回、路線価の減額補正の対象となった地域は大阪ミナミの繁華街、心斎橋2丁目、宗右衛門町、道頓堀1丁目の3地点です。
見直し対象となる期間は、令和2年7月から9月の間に対象地域の土地所有に相続があり、その土地を相続した方もしくは土地の贈与を受けた方になります。
昨年発表された公示地価や路線価には、新型コロナウイルスの影響が反映されていませんでしたが、交通機関や利便性の良いこの地域では、インバウンド需要が大きく低迷したことにより、時価下落が進みました。時価の8割を目安とする路線価も同様の影響を受けた為に、下落の流れとなりました。
減額補正率は0.96で路線価が100万円だった場合には96万円と、1㎡当たり4万円の大きな下落となりました。
5年以内であれば相続税の申告書は見直せる可能性が高い
相続税は一度申告してしまうと見直すことはほとんど無いのが現状で、むしろ見直しが出来ることをご存知でない方も多数いらっしゃいます。
今回、大阪府で路線価の修正があったように特定の要件に該当した場合、既に提出した相続税申告を改めてやり直すことで、過大に支払った相続税を取り戻す手続きが可能になります。
この手続きを相続税の『更正の請求』と言いますが、相続税申告書を提出してから、5年以内に手続きをする必要があります。
見直しが可能な特定の要件とは?
どのような条件の方が相続税を取り戻せるのかと言いますと、相続財産の評価額計算に誤りがあって、税金を多く納めすぎた場合です。
特に評価額の増減が大きくなるのは、『不動産(土地)』をお持ちの方です。
土地の相続税評価は、土地の面積に路線価を掛け合わせる計算方法で算出されますが、土地は1つ1つに個性があり、大きな土地もあれば歪な形の土地もあります。不動産評価の知識が乏しいと、その特殊な土地の評価を十分にする事が出来ないため、評価する人によって差が発生することがあります。
例を用いて評価の差額を計算してみましょう。
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相続人の数:3人(基礎控除4,800万円)
土地の内容:旗竿の土地
土地の広さ:100㎡(かげ地35%)
路線価 :50万円
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①通常の評価方法
100㎡×50万円=5,000万円
一般的な評価であれば広さに路線価を掛ける為、上記の様に5,000万円の評価になります。
②土地に応じた評価
旗竿の土地は綺麗な四角の土地ではないため、3つの減額方法を活用します。
①奥行きがあることによる減額
②間口が狭いことによる減額
③土地の形が歪なことによる減額
この減額方法を用いて例の土地を再度評価した場合。
①50万円×0.95=47.5万円(奥行による減額)
②47.5万円×0.9=42.75万円(間口による減額)
③42.75万円×0.88=37.62万円(不整形による減額)
100㎡×37.62万円=3,762万円
土地に応じた評価方法を行うことで【1,238万円の評価減】になりました。
このように土地の状況に応じた評価方法を採用する事で、最終的な評価額に大きな差が生じますが、基礎控除が4,800万円の今回のケースでは、
①の場合は納税の対象となりますが、
②の場合は相続税が課税されない結果となります。
平成27年1月以降相続税の基礎控除が削減され、相続税の納税対象者が増加しています。ご相続で大きな土地や、不整形な土地等を相続された方は還付の可能性があるかもしれません。
この機会に一度過去に提出した申告書を見直されるのはいかがでしょうか。
土地の評価に強い専門の担当がご対応させて頂きますのでご相談ください。
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