シニア社員の処遇(給与・待遇)の見直しについて(Vol.510)


中村亨の「ビジネスEYE」です。

4月より70歳までの就業を確保するための法改正がいよいよ施行されます。
それに伴い、カシオは50歳以上を対象とした副業解禁と60歳以上への成果主義の導入、明治安田生命は60歳から65歳への定年延長と管理職の登用など、シニア社員の処遇制度の見直しが進んでいます。

背景として、シニア労働者の増加とスキルを備えた人材の不足が考えられます。
厚生労働省の調査によると、60歳以上の労働者は、10年前との比較で約1.7倍の409万人となり、全世代に占める割合も8.8%から12.7%に増加しています。

今回のビジネスEYEでは、【なぜシニア社員の働き方・処遇の見直しが必要なのか】その背景をご紹介します。

 

1.熟練人材の不足

ベテラン社員が定年を機に退職したことで、スキルを備えた人材の採用が間に合わず、現場が混乱してしまった。せっかくの仕事の依頼も断らざるえなかったなど、人材不足により事業に支障をきたしてしまうケースが増えてきました。

高齢・障害・求職者雇用支援機構の調査によると、定年延長を決断した企業の多くが人手不足の課題を抱えており、専門・技術職や現業職が多くいる企業ほど、長年の経験で培われた技術のあるシニア社員を活用するために、定年延長を実施していることが窺えます。

2.2025年問題

2025年に60歳以上のシニア労働者の貴重な収入源でもあった特別支給の老齢厚生年金の廃止や高年齢雇用継続給付の減額(段階的な廃止)が行われます。

公的給付は給与が増えると相殺されてしまうため、最大限受給できるように60歳以上の賃金を低額に抑えている企業も多くあることから、賃金制度の見直しが迫られます。

3.同一労働同一賃金への対応

2021年4月(大企業は2020年4月)から、法改正により同一労働同一賃金が適用されます。定年後に継続雇用制度を採用している企業で、有期雇用のもと再雇用労働者が正社員と同様の仕事をしている場合は、不合理な待遇差となっていないかを確認することが必要です。

具体的には定年後の継続雇用であるという理由だけで、大幅に給与を減額することは難しくなりますので、役割に見合った処遇制度を検討していくことになります。

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日本クレアス社会保険労務士法人のWebサイトでは、「70歳就労へ シニアの活躍に結び付ける働き方の見直しのために」と題し、なぜ、シニアの働き方の見直しが必要なのか図表を用いてさらに詳しく解説しています。またそれを受け、シニアの活躍に繋がる働き方の検討のために必要な企業の動きについても紹介しています。ぜひご覧ください。

●〇● 70歳就労へ シニアの活躍に結び付ける働き方の見直しのために
https://ca-sr.com/report-senior-1717/

【お問合せ先】
日本クレアス税理士法人
電話:03-3593-3243
お問合せフォーム:https://creas-souzoku.com/free-consultation-form/

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さて、シニアの活躍に繋がる働き方の検討のためには、5年後・10年後を見据えた人員構成や賃金水準の分析を行う定量的な調査や、アンケートや面談を通した社員の意識の確認も必要になってきます。

日本クレアス社会保険労務士法人では、「シニアの人事制度セミナー」を開催します処遇制度の見直しの仕方や事例について、じっくり解説を行います。皆様のご参加をお待ちしております。

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【シニアの人事制度セミナー】開催決定!
シニア人材活用のために取り組むべき人事制度の見直し
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・日時   4月21日(水)・5月13日(木) 両日14:00-15:30
・主催   日本クレアス社会保険労務士法人
・参加   無料(オンライン or 来場)
・申込   https://ca-sr.com/news/seminar/senior-2021/

2021年4月には「高齢者雇用安定法」の改正が施行され、企業には70歳までの就業機会を
確保する努力義務が課せられますが、実際には体系立てた仕組がない企業は多く見受け
られます。そのような企業には、公的給付に依存するのではなく役割に見合った給与体系
への見直し等が必要になります。

本セミナーでは、シニアの処遇制度の見直しの仕方や事例について解説いたします。

<セミナー内容(抜粋)>
・シニアが活躍できる環境の整備が求められる背景
-少子高齢化による労働力の現象と熟練人材の不足
-2025年問題(特別支給の老齢厚生年金・高年齢雇用継続給付の廃止)
-同一労働同一賃金の対応(長澤運輸事件)
-開催高年齢者雇用安定法の施行(70歳就業確保措置)
・シニアの活躍に結び付ける人事制度の仕組み
-シニアのニーズに合わせた働き方、コース別人事制度
-第二退職金制度
-見直し企業事例
・定年引上げやシニアの労働環境の整備における助成金制度

●〇● 【シニアの人事制度セミナー】詳細・お申込みはこちら
https://ca-sr.com/news/seminar/senior-2021/

 

 

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