中村亨の「ビジネスEYE」です。
東京商工リサーチの発表によると、2020年に適時開示された「着服横領」は12件で調査し始めた12年から倍増しました。最近ですと、架空発注や金券ショップ換金の博報堂DYグループ会社での不正が記憶に新しいところです。
コロナの影響で、経理担当者や業務監査、監査法人などによる現場でのチェックが困難になり、不正が発覚しにくい環境が整いつつある、という指摘も聞かれます。
今回のビジネスEYEでは、架空発注の事例を元に不正を防止する目的での内部監査について見てみます。
(参考:日本経済新聞/2021年2月2日)
■被害総額7億円・CM制作を巡る架空発注事件
冒頭の架空発注事件について触れておきます。
博報堂DYメディアパートナーズの元社員は、テレビCMの制作業務を旧知の取引先と架空取引を行い、それを正規の発注に紛れ込ませることで社内の経理担当者に請求。
経理担当者は、正規の発注内容と照合して精査することを行わず、最終的には3年間で7億円もの被害が発生しました。
■「強い事業部門」との力関係も発端か
広告主ごとの一定期間の総額を社員からの報告に基づいて整理する、という同社の請求・支払の管理方法に問題があったと指摘されています。放送枠の価格や広告主からの受注額を外注費と比較するなど取引内容の精査体制が整っていれば避けられていたかもしれません。
また、営業など利益に直結する「強い事業部門」が、管理や内部監査の部門に比べて強い力を持ち、その力関係の副作用との指摘もあります。強い事業部門に対して口出しができないという日本企業の傾向が、経理が不正に気付いてもなかなか口出しできない、という状況があるのかもしれません。
■内部監査の重要性
この事件は、内部監査が正しく機能していれば防げた可能性が高いと考えます。
内部監査には、業務の生産性を上げることやリスクの低減など、様々な目的がありますが、「不正や不祥事の防止」は経営に与えるインパクトが大きく、重視すべき目的の一つです。
とはいえ、多くの会社で内部監査部門が設置されていますが、本来の目的達成に遠く及ばず、内部監査部門を「設置すること」がゴールになっている状況の会社も散見されるのが実情です。
■リモートで不正見えない懸念
当グループでは、これまで、多くの企業の内部監査をサポートしてきましたが、経営に活かせない監査業務はいくつか典型的なパターンが見られます。
・事実の指摘だけで改善方法を提案しない監査(点検型監査)
・経営陣の目論見に合わせて監査を進めるので、恣意的な結果になる(結論ありき監査)
また、コロナ禍においては「リモートの浸透と機密情報の持だしリスク」「コロナによる経済的困窮が不正に手を染める動機になるのでは?」など新しい課題もあります。
自社の監査業務が経営に活かせているか、形式的になっていないか。今一度振り返ってみてはいかがでしょうか。
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