2017.05.25

ビジネスEYE Vol.325


中村 亨の【ビジネスEYE】です。

「脱・銀行」を果たし、不動産業界 時価総額ランキングで第4位のポジションを得ているヒューリック。
さらなる成長のために、多角化戦略である3K(観光・高齢者・環境)を進めています。

本日のメルマガでは、前回に引き続き、躍進するヒューリックの成長の秘訣に迫ります。

■さらなる高成長へ
前回の内容を振り返りつつ、多角化戦略である「3K」(観光・高齢者・環境)に至るまでの過程を見てみましょう。

ヒューリックは、富士銀行(現:みずほ銀行)が保有する不動産を母体に「日本橋興業」として設立されました。
所有物件の建替えや高層化することで賃料収入を増やす一方、
財閥系と競合しない中規模オフィスに集中することで、飛躍的な成長を遂げました。

保有する物件の多くは駅前の一等地にありましたが、建替え需要の一巡を機に成長戦略の見直しが行われました。
そこで、打ち出されたのが「新規事業への参入」です。
成長途上のマーケットである「3K」(観光・高齢者・環境)を軸とした多角化戦略です。
■観光ビジネス
「3K」の一つである『観光ビジネス』を見てみましょう。
日本政府観光局(JNTO)によると、訪日外客数は増加傾向にあり、平成28年度は前年比21.8%増の2,403万人、
平成29年1-3月期は654万人と過去最高を記録しています。
政府は、「-2020年、訪日外国人旅行者を4000万人に-」との目標を立て、「観光先進国」としての新たな国づくりに向けて動き始めています。

ヒューリックもこの流れを逃さぬよう、年間約2,000万人以上の観光客が訪れる日本有数の観光地である浅草に
『THE GATE HOTEL 雷門 by HULIC』(平成24年8月)を開業しました。
浅草のシンボルともいえる雷門に近接しているほか、近隣にはスカイツリーもあり、東京観光には絶好のロケーションです。

さらに、昨年5月には、東京・お台場の大型ホテルを京浜急行電鉄から取得しました。
東京オリンピックなどの国際交流が最高潮に達する 2020 年の訪日外国人需要はもちろん、ビジネスの需要を取り込む狙いがあるようです。
浅草のホテル事業で培った業務管理のノウハウを活かし、収益性の向上を図っています。

■高齢者ビジネス
内閣府発表の「平成28年版 高齢社会白書」によると、平成27年10月1日現在、
高齢化率は26.7%であり、平成47年には 33.4%で約3人に1人が高齢者となる見通しです。
高齢者向けの市場規模は、今後も成長・拡大が見込まれます。

ヒューリックの対応としては、主に首都圏において約3,000室の高齢者施設の保有及び開発を行っています。
施設は長期リース契約を結び、安定した収益を見込んでいます。

■環境ビジネス
環境ビジネスでは、環境技術導入等によるバリューアップを図り、都市型テナントビルにおける
自然採光・自然換気システム導入の提案をしています。
温室効果ガスの排出抑制や省エネルギーをCSRの重要課題と位置付け、環境技術の向上に積極的に挑戦、
米マサチューセッツ工科大学(MIT)と共同研究した「自然採光システム」および「自然換気システム」を
実際の建物に導入するなど取組みを推進しています。
また、建替えに伴う廃棄物・資源投入量の削減を通じて環境に寄与するのみならず、オフィスの寿命を延ばす「長寿命化」を図っています。

一連の環境への取組みが評価され、日本経済新聞社主催の「第20回 経済経営度調査(2017年)」企業ランキングにおいて、
倉庫・不動産・その他部門で7年連続で第1位を獲得しました。

平成29年12月期 第一四半期の決算補足資料によると、従業員一人当たりの計上利益が3.4億円超(単体ベース)と
効率性や労働生産性が大変高いことが分かります。
単体での従業員数はわずか150名弱ですが、弁護士や会計士、一級建築士など、その道のプロを多く雇用しています。
プロを惹きつけるような福利厚生・人材育成制度への注力も、高い成長を支える一因となっているようです。

不動産ビジネスを深化させるとともに、時代のニーズに即した分野へと多角化を進めるヒューリック。
多角化戦略が功を奏するなか、持続的成長のための次の一手に注目です。

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