医薬品業界トップシェアを誇る竹田薬品工業の狙いとは?(Vol.308)


中村 亨の【ビジネスEYE】です。

『武田が6200億円で買収 ウェバー改革は吉と出るか』(週刊ダイヤモンド/2017年1月21日号)

再編や合併を繰り返し成長してきた医薬品業界。その中でトップシェアを誇るのが武田薬品工業(2位アステラス製薬・3位第一三共)。同社も兼ねてから積極的なM&A戦略を打ち出してきましたが、2017年もその流れは継続されるようです。

本日のメルマガでは、武田薬品の狙いについて考えてみます。

武田製薬のM&A戦略

武田薬品は早い段階から『選択と集中』を目的としたM&Aに取り組んできました。その対象は国内に留まらず、クロスボーダーの大型案件にも積極的です。買収総額は直近10年(公表されているもの)で…なんと約2兆円を超えています。

M&Aは大型案件であればあるほど、シナジー効果への疑問、買収資金捻出による財務の悪化など、外野からの様々な批判にさらされます。2008年の『Millennium Phamaceuticals』、2011年の『Nycomed』に続き、今回も「適正価格を超えた高い買い物」との批判の声が聞かれています。

武田薬品の狙い

武田薬品の狙いは、課題である「新薬開発」と「販路の拡大」の2点に尽きるでしょう。

【新薬開発】

主力となる4品目の特許切れが迫っており、可及的速やかな新薬開発が求められます。同社がM&Aに求めた最大のシナジー効果は、「技術の獲得」だと推測されます。

【販路拡大】

同社が主戦場としているのは国内とアメリカ市場です。今後はシェアの低い欧州市場や新興国市場への進出が必須となります。買収した企業をみると、その足掛かりを着実に作っているようにも思えます。

10年後の武田薬品

国内最大手の同社も、世界ランキングでみればトップ10圏外(17位/2015年度)。日本の製薬業界全体に言えることですが、過去の爆発的なヒット(成功体験)が重荷となり、海外の競合他社と比べて、『初動が遅い』といった特徴(弱点)があります。弱点をどう克服していくのか?企業の本質が問わることになります。

M&A成功の可否はこの先10年の新薬のラインナップとグローバルシェアに表れてくるでしょう。座して10年を待つのではなく、積極的な攻めの姿勢を崩さず、固定概念に捕らわれない戦略を遂行していくことが肝要でしょう。

230年以上の歴史で培ってきたタケダイズム(誠実・公正・正直・不屈)を軸に、ウェバー社長CEOが目指す「グローバルリーダー企業への進化」をどこまで体現できるかに注目です。

 

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